仮想通貨とは

通貨は取引の決済手段として広く流通している貨幣のことです。仮想通貨も機能は同じですが、実際に手に取ることはできません。ネット上に残高や取引履歴が記録されているだけです。そこから日本では「仮想通貨」と呼ばれていますが、本家の英語圏では「暗号化された通貨(Crypto-currency)」と言います。

普通の通貨は国が法律を定めて管理しています。これに対して仮想通貨は、民間で生まれた私的な通貨です。観光地などに行くと、地域を限定した疑似通貨の例が見られますが、仮想通貨は電脳空間における疑似通貨と言えるでしょう。ネット上には国境がありませんから、全世界で通用するというメリットがあります。なので、外国と物品の売買をする場合は非常に便利です。両替の必要がなく、送金手数料も非常に安い。しかも24時間いつでも個人間で送金が完了してしまいます。

実際に今では仮想通貨を使って飲食したり物を買ったりすることが可能になってきました。ただしまだまだ限定的で、通貨と呼べるほど市民権を得ているわけではありません。実態としては、大勢が参加している大規模な実験という側面が強いことを理解すべきでしょう。

仮想通貨の起源

1.ビットコインの誕生

最初の仮想通貨と呼べるものは、ある論文から生まれました。この論文は、暗号化技術に関する米国のとあるメーリングリストに投稿されたものです。2008年のことでした。投稿者はサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)と名乗る人物(日系人っぽい名前ですが真実は不明)。PDFで投稿された論文の名称は「ビットコイン:電子通貨システム(Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System)」というものでした。この論文は、中央銀行のような発行者・管理者がいなくても、ネット上で通貨を流通させるにはどうすればよいか、ということをテーマにしていました。

  • メーリングリスト…メーリングリストのサイトに行くと、様々なテーマがリストアップされています。気に入ったテーマが見つかればメールアドレスと適当なハンドルネームを登録。するとメンバーの誰かが投稿するたびに、他のメンバー全員に同報されるという仕組み。同じ趣味や仕事を持ったメンバー同士で情報交換する場がメーリングリストです。

この人物はその後もメーリングリストにアイデアやプログラムソースを投稿し、徐々に興味を持つメンバーが増えていったようです。そして翌2009年、そのグループによって仮想通貨であるビットコインが誕生したのです。

2.初の決済事例

ただし、当初はグループの中で行われた実験的な試みで、通貨としての価値は持っていませんでした。しばらくの間は、暗号技術や通貨機能の検証が続けられていたのです。そんな時、あるメンバーが「誰か僕のビットコインとビザを交換しないか」という一文をメーリングリストに投稿したところ、このジョークに応じるメンバーが現れ、実際にビットコインとビザが交換されたそうです。これこそビットコインが初めて決済に使用されたケースだと言われています。

3.発案者のその後

そうした段階を経ながら、ビットコインの保有者は徐々に広がっていき、現在の状況へと発展していきます。ところで発案者であるサトシ・ナカモト氏はどうなったでしょうか。彼(?)は途中からこのプロジェクトを他の人にまかせ、フェードアウトしてしまったようです。結局のところ、この人物は特定されていません。ただ一つ言えることは、ビットコイン約100万BTCを所有しているらしいということです。これは2017年5月時点の相場で2000億円に相当する額です。論文投稿から10年弱で、巨額の富を築いたのです。なお、開発者グループは今でも活動していて「コア(Bitcoin Core)」と呼ばれています。

仮想通貨が注目される理由

仮想通貨が広く世間の注目を浴びるようになった原因は、やはり価格の高騰ではないでしょうか。ビットコインで大きな値上がり益を手に入れたと言うニュースを見かければ、誰だって関心をそそられます。しかし仮想通貨が注目を浴び始めたそもそもの理由はその将来性です。

仮想通貨の特徴は言うまでもなく物理的な実体がないということです。そのため保管の必要がなく、移動させるにしても電子的な処理だけで済んでしまいます。そして何よりも、管理者が不要という技術的な革新を伴っていることです。銀行という社会インフラを土台とした現行体制に比べて、あらゆる面でコストや手間を低く抑えることができます。

加えて、24時間いつでも個人どうしで直接送金や決済ができてしまうのです。もちろん世界共通ですから、両替や為替相場を気にする必要はなく、銀行口座を所有している必要もありません。仮想通貨は新しい通貨システムへ発展を遂げることが期待されているわけです。

仮想通貨バブルの発生

将来性があると言っても、まだまだ未知の領域ですから、不確定要素がたくさんあります。では、将来性をある程度織り込んだとして、現状で仮想通貨の価値はどの程度あるのでしょうか。株価には解散価値、土地には収益性といった一応の基準があるので、妥当な価格が設定できます。しかし通貨には絶対的基準がなく、あくまで相対的な価値判断が基準になります。

例えば仮想通貨が社会に根付いて、1単位でビッグマックが買えると仮定します。一方実際の店舗では400円で買えるとします。するとその仮想通貨1単位は400円の価値を持っていることになります。

しかし現状の仮想通貨相場はそんな冷静さを持ち合わせていません。昔から相場の世界で言われる「上がるから買う、買うから上がる」という状態になっています。何か悪いニュースが出ると利益確定の売りで急落しますが、買いそびれていた人たちの需要で元に戻るという循環の繰り返しです。まさにバブルと言えます。バブルがいつまで続くのかは誰にもわかりませんが、いつかは弾けます。仮想通貨の取引を始めるなら、それを承知のうえで始めなくてはなりません。

仮想通貨の長期投資

では中長期的な保有を前提に仮想通貨へ投資する場合を考えてみましょう。確かに仮想通貨は実際に利便性が高いので、社会に根付いていく可能性は高そうです。しかし平成バブルのように、相場の頂点で買ってしまうと10年単位で塩漬けとなる可能性があります。しかも株価や土地など既に社会インフラとなっているものと違って、この先どんな変化が起こるか予想できません。例えば、新しい種類の仮想通貨が出てきて、既存の仮想通貨は価値を失うかもしれません。

ですから、マネーゲームの状態にある現状で中長期投資を考えるなら、暴落した時に安値を少しずつ拾っていくしかありません。そして、中長期を前提としながらも、いつでも対応できるように、常に相場にはアンテナを張っておくことです。絶対にほったらかしは禁物です。かつて同様の熱狂を見せてあっという間にすたれていった「セカンドライフ」の例もあります。マスコミに踊らされず、自身の目で将来性を見極めましょう。

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