仮想通貨投資の法規制

資金決済法の改正

仮想通貨が日本でも注目され始めた当初は、取引を規制する法律が特にありませんでした。言ってみれば野放し状態で、2014年には大手取引所だった「マウントゴックス」を舞台にコイン消失事件が起こっています。これが一つのきっかけとなり、仮想通貨に対する規制の必要性が行政でも議論されるようになりました。

その結果、2016年に「資金決済に関する法律(資金決済法)」が改正され、仮想通貨は同法の規制対象となったのです。この法律は、法定通貨以外の決算手段を規制する法律で、主な規制対象には商品券、プリペイドカード、電子マネーなどがあります。仮想通貨は今のところ電子マネーの一種とみなされています。今回の改正では新たに以下の規制が導入されました。

  1. 仮想通貨交換業者には登録を義務付け
  2. 利用者保護のためのルール

ではそれぞれについて簡潔に解説していきます。

業者を登録制に

仮想通貨関連のビジネスを営む業者には、金融庁に登録することが義務付けられました。無登録ではビジネスを行うことができなくなったわけです。登録が必要となる仮想通貨サービスは以下の三種類です。

  1. 仮想通貨の売買または他の仮想通貨との交換…想定されるビジネスの一つは、仮想通貨の売買を業とすること。両替商のようなイメージです。もう一つは、仮想通貨の取引所を開設することです。
  2. 上に掲げる行為の媒介、取次ぎまたは代理…これは、上記ビジネスを自分で直接やるわけではないけれど、代理店や紹介業のような形で仮想通貨ビジネスに関わる場合です。
  3. 上二つに掲げる行為に関して、利用者の金銭または仮想通貨の管理をすること…1と2を行う場合には当然ながら顧客からキャッシュを預かったり仮想通貨を管理したりということが付随しますが、そうした事を行う場合も登録が必要ということです。法律上、取引サービスを提供することとお金を預かることを分けているわけです。

利用者保護

1.最低資本金

今回の改正では利用者保護も図られましたが、その柱の一つは業者の登録条件として最低資本金を設定したことです。具体的には、取引所を営む場合は1千万円の最低資本金が必要となりました。

これは、取引所が破たんして利用者に被害が出ないように取引所に一定の体力を課したものですが、1千万円とはいかにも低水準です。恐らくは、いきなりハードルを高くして混乱が生じ、利用者に不利益が及ぶことを懸念したと思われ、将来的には引き上げられる可能性があります。意図としては、とりあえず個人商店のようなレベルの取引所は排除しようということでしょう

2.分別管理

もう一つの柱は、顧客から預かった資金と仮想通貨を分別管理することです。経理的にきちんと分けて管理し、運転費用など自己の資金と混同してはいけないということです。これも規制としては緩いですが、段階的に厳しくなっていくと予想されます。FXでも最初は分別管理するだけでよかったのですが、現在では信託契約による厳密な分別が義務付けられていす。

改正の影響

2017年4月に改正法が施行されたことを受けて、9月に11社が業者登録を受けました。以前から取引所を運営してきた業者のほか、証券系やFX系などの業者が登録しています。一方、登録条件を満たせず撤退した業者も12社ありました。とりあえず業法ができたことにより、大手資本も参入しやすくなった面がある一方、個人商店レベルは排除されたと言えるでしょう。

登録業者は今後、金融庁の監督を受けることになります。業務状況などの報告義務を課されるほか、法令遵守に係る臨店検査なども受けるようになります。このため、改正前に比べると、業者の信頼性は高まったと言えます。

ただ、FXの場合もそうでしたが、法律はこれから先何度も改正されて完成度が上がっていきます。その間は、まだまだ不備や抜け穴がたくさんあります。法律は社会的な問題が起こったことに対応して改正されるので、先回りはしてくれません。法が守ってくれないところは自分で用心するしかありません。この点は忘れないでおきましょう。

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