為替条項
経済記事などで時おり目にする「為替条項」という言葉。通常は、TGA(物品貿易協定)やFTA(自由貿易協定)などの貿易に関する国際協定で、為替相場について取り決めた条項をさします。協定には必ず含まれるというわけではありませんし、取り決めたとしても内容は当事国によって様々です。ただ目玉となるのは(特に米国が相手の場合)「為替相場を操作してはならない」という取り決め。米国相手に貿易協定を結ぶ際は、これを明記するかどうかが争点の一つとなります。もし明記されるとしたら、どのような行為が操作に当たるのかという定義が為替政策を左右することになります。
2018年に米国がメキシコと結んだNAFTA(北米自由貿易協定)や韓国と結んだFTAでも、為替条項が盛り込まれました。日本と米国の貿易協定にはまだ為替条項は含まれていませんが(2018年末時点)、日本側は常に警戒をしています。というのも、米議会には根強い推進派がいるからです。彼らのバックには自動車産業界がついています。米国とメキシコが結んだの為替条項では、相手国が違反すると国際機関に訴えることができる取り決めになっています。日本としてはこうした事態は何としても避けたいところ。為替相場は今でも日本経済を左右する重要なパラメータだからです。