フォーク

フォークとは

仮想通貨への投資にはいくつかの不安要素がありますが、その一つが分岐や分裂と言われる現象です。英語ではフォ−ク(Fork)と言います。簡単に言うと、ある仮想通貨が枝分かれして亜種が誕生することです。2017年8月2日、実際にビットコインで分岐が起こり、ビットコインキャッシュ(BCC)が誕生しました。分岐が起こると相場が急落したり取引が停止したりするなどの事態が考えられる一方、儲かる可能性もあります。

ビットコインはBCC誕生後も立てつづけに分岐が起こり、10月24日にビットコインゴールド、11月24日にビットコインダイヤモンドが誕生しましたが、その間に本体は2.5倍に値上がりしました。新しく誕生したBCCに至っては、分岐直後の2万円前後から18万円まで9倍に値上がりしています。好材料とも悪材料ともとれる分岐は、投資家にとっては重大な関心事の一つです。そこで分岐が起こる仕組みや対処方法を簡単に整理しておきます。

ソフトフォーク

仮想通貨には、所有者・残高・取引履歴などを記録した台帳が存在しますが、ブロックと呼ばれる小さな単位に分かれており、ネットで連結されて一つの台帳を形成しています。取引記録をブロックに書き切れなくなくなると、新しいブロックを作る必要がありますが、そのためには一定の計算を行って解を求めなければなりません。新しいブロックを誰よりも早く作ると、新規発行の仮想通貨を入手できるので、この計算は世界中で競うように行われています(詳しくはこちら→ブロックチェーンとマイニング)。

その結果、稀に双子のブロックが誕生することがあります。このとき、ブロックの連結が枝別れを起こします。これが分岐です。ただ分岐が起こっても、どちらか一方は自然に消滅する仕組みになっているので、ほどなくして自然に治癒します。こういうタイプの分岐をソフトフォークと言います。

ハードフォーク

ところが、意図的に修復不能な分岐が仕組まれたらどうでしょうか。枝分かれが固定化されてしまうと、系列が異なる台帳ができるので、新しい仮想通貨が誕生することになります。こうした分岐をハードフォークと言います。投資家にとって、ソフトフォークよりも重大な問題です。

ハードフォークが起こる原因は、ブロックチェーンの規格(設計)が変更されて、過去のブロックとの連結が不可能になることです。BCCの場合を例にとって説明しましょう。

この時の根本的な原因は、ビットコインの利害関係者間における対立でした。膨れ上がる記録量への対応策に関して、「コア」と呼ばれるビットコインの開発者グループと大手マイニンググループが対立したのです。コアは台帳のサイズを変えずに情報量を増やす方法を提唱していました。これだとハードフォークが起きませんが、マイニンググループが受け取る新規発行分が減ってしまいます。このため、彼らはブロックのサイズそのものを大きくする案を主張しました。この方法だとハードフォークが起きるという問題があったので、両者は1年以上にわたって話し合いを持ったようですが、合意に至りませんでした。そこで業を煮やした一つのマイナーグループが、新しい規格によるブロックの作成に踏み切ったのです。

フォークへの対策

ソフトフォークが起こった状態では次のような問題が起こる可能性があります。

  1. 仮想通貨を送金したのに着金しない。
  2. 仮想通貨を受け取ったのにいつの間にか消えてしまった。

ただ、投資目的で仮想通貨を保有しているのであれば大きな問題とはなりません。一方、ハードフォークでは二種類の仮想通貨に分かれますので、交換業者の対応によっては予想外の問題が起こる可能性があります。ただ、ハードフォークは人為的に起こるものなので、事前に報道がなされますし、業者も注意喚起を行います。なので、そうした情報にアンテナを張り、ハードファークが予想される時は交換業者に置かず、仮想通貨の分岐で保管しておきます。もちろん、安定するまでは送金も控えたほうが安全です。

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