リスクパリティ
リスクパリティとは
リスクパリティは「リスクパリティ戦略」を短縮した表現です。パリティ(Parity)は「等しいこと・等しい状態」という意味の名詞なので、リスクパリティは「リスクが等しい状態であること」を指します。ポートフォリオの運用手法として近年用いられるようになりました。具体的には、複数種類の金融商品を保有している時に、各商品のリスク度合いが同等になるようにウェイトを調整する手法のことです。
例えば、通貨、債券、株式からなるポートフォリアを保有している場合、平時は株式のボラティリティが最も高いので、リスクパリティにしようと思えば、株式への資金配分を低くします。しかし何らかの理由で通貨のボラティリティが高まると、通貨の保有量を下げて現金を高めるなどの操作を行います。
リスクパリティの功罪
ひと昔前は、各商品の比率を固定化して、四半期や半年ごとに見直すという戦略が一般的でした。見直す場合も、リスクを均等にするという発想はあまりなかったのです。しかしリーマンショック以後は、きめ細かい配分が行われるようになったわけです。
ただ多くのファンドが同じ手法を採用した結果、変動率が高まった金融セクターは一斉に売られるようになりました。一説によると、70兆円規模の運用資金がリスクパリティ戦略を採用していると言います。この結果、相場が静から動に転じると、変動率をさらに高めるという副作用も発生しています。その具体例が2018年2月に発生した「VIXショック」でした。2017年の米国株式は歴史的な低ボラティリティだったため、多くのファンドが米株のウェイトを高めていました。そこへ急落が起こり、各ファンドが米株の持ち高調整に動いたため、下落幅をさらに大きくしてしまったのです。