バイアス
バイアスは色々な分野で使われる言葉ですが、基本的には「中立的ではなく、何らかの偏りや歪みが生じていること」を指します。例えば「彼の判断にはバイアスがかかっている」と言うと、先入観や偏見で正しい判断ができていない、という意味です。
相場の世界でも、近年は売買の判断における心理作用の重要性が認識されています。行動経済学では以下のようなバイアスが指摘されています。
- 損失回避バイアス…利益は早く確定したがり、損失は先延ばしにしたがるという心理作用。利益から得られる快感を1とすると、同額の損失で感じる苦痛は2と言われる。
- 現在志向バイアス…将来の大きな利益よりも現在の小さな利益を優先させる心理作用。幼児に目の前のクッキーを食べずに我慢すれば3倍にしてあげると言っても、多くの幼児は食べてしまう。大人も変わらないということ。
- 確証バイアス…人は無意識のうちに、自分にとって都合の良い情報はすんなり取り入れるが、都合の悪い情報は無視しようとするという心理作用。投資家はいったん買い建玉を持つと、上昇を予想する記事は積極的に読み、下落を予想する記事はスルーしようとするが、むしろ逆であるべき。
こうしたバイアスによって、人は知らないうちに相場の罠にはまってしまいます。例えば「最終レース効果とブレークイーブン効果」がそれです。これらは行動経済学が指摘した投資家の行動パターンです。詳しくは「プロスペクト理論が示す失敗の理由」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。