最終レース効果とブレークイーブン効果

最終レース効果

   最終レース効果とは、相場で負けが込んでくると、一発逆転を狙って投資額が大きくなってしまう心理作用を言います。行動経済学で指摘されている人間の行動パターンです。実際、競馬などのギャンブルでは、最終レースの売り上げが不自然に高くなることが少なくないようです。通常、最終レースは注目度が低いにもかかわらずです。

ブレークイーブン効果

   最終レース効果と同じ心理作用に、ブレークイーブン効果があります。こちらも、負けが先行した時により大きなリスクを取ってしまう、という行動パターンです。例えば20%の利益獲得を目標に立てた投資家を想定します。この投資家が100万円を元手にFXを始めたところ、損失が先行して80万円に減ってしまいました。本来、この投資家は20%の利益目標と裏腹に、損失の限度額も20%であるべきです。つまりここでゲームオーバ−です。しかし投資家心理としてはここで止めるわけにはいきません。少なくとも100万円に戻そうと考えます。しかし、80万円の元手を100万円にするためには、25%の利益が必要になります。それはリスクも25%へ拡大することを意味します。この投資家は、80万円の20%である16万円の獲得を目指すべきですなのです。

ギャンブラーの誤り

   行動経済学では「ギャンブラーの誤り」という心理作用も指摘されています。例えば、コインをトスして表が出れば勝ち、裏が出れば負けとします。裏が何回も連続して出ると、誰もが「そろそろ表が出るだろう」と考えがち。しかし、次に表が出る確率は常に50%で不変なのです。負けが込んだ投資家も、今度こそ勝てるだろうとつい見通しが甘くなってしまいます。心にバイアスがかかった状態です。しかし負けてばかりいる人が勝つ確率は低いと考えるべきであり、確率が上がってくるまでむしろ投資額は縮小すべきです。相場に最終レースはありません。くれぐれも冷静に行動しましょう。

◎次のページ:FXとランダムウォーク理論|前のページ:FXと行動経済学

Copyright(c) 2008-2021 All Rights Reserved.