FXとランダムウォーク理論

FXとランダムウォーク理論とは

   ランダムウォーク理論というのがあります。簡単にいうと、相場は酔っ払いの千鳥足のようなものだから、予想しても無駄であるという主張です。そのため、取引の判断をプロのファンドマネージャーが行っても、猿がダーツ投げで決めても結果は変わらないとしています。

   その背景には、相場はすべての要因を織り込んだうえで形成されており、明日の相場は予測不可能な要因によって左右されるという考え方があります。したがって、どんなに強いトレンドラインを作っている相場でも、明日上がるか下がるかは五分五分であり、相場はその連続に過ぎないと言うのです。しかし、為替市場ではジョージ・ソロスのように大儲けするファンドマネージャーもいます。ではランダムウォーク理論は間違っているのでしょうか。

ランダムウォーク理論

為替相場とランダムウォーク理論

   実は、ランダムウォーク理論は株式を対象としたファンド運用に関する理論です。そして最大の主題は、パッシブ運用とアクティブ運用の優劣を比較することにあります。アクティブ運用とは、市場平均を超える運用収益を目指して積極的な売買を行う手法。パッシブ運用とは、市場平均と同程度の運用収益を目指す手法を言います。為替相場ではパッシブ運用という手法は存在しないので、ランダムウォーク理論をそのまま持ち込むことはできません。

   ジョージ・ソロスがポンド売り(参考記事:ポンド危機)や円売り(2012〜2013年)で大成功したのは、まだ相場に織り込まれていない要因を見出して勝負に出たからです。ランダムウォーク理論ではそのような動きは想定していないのです。

FXでも役立つランダムウォークの考え方

   しかし、相場はランダムウォークであり、明日はどうなるか分からないという主張は、FXでも頭の中に置いておきたい考えかたです。相場では一つの考え方にこだわりすぎないこと、頭を柔軟に保つことが肝要だからです。投資家は、知らず知らずのうちに、先入観で相場を見ます。エコノミストの予想に影響をうけてそうなる場合もありますが、特に注意したいのが建玉をもったときでしょう。

   例えば、相場は上昇すると予想して買い建玉をもったとします。そうすると、少々相場が逆行したり悪いニュースがでてきても、上がるはずだという観念に縛られて、中立・冷静な見方ができなくなってしまいます。心理学では、人間は自分が行った判断や行為を無意識のうちに正当化しようとするそうです。こと相場に限って言えば、誰にでも気をつけなければいけない本能が備わっているわけです。

   ですから、建玉するときに「きっと値上がりするはずだ。儲かったら何を買おうか」と考えるのと、「値上がりする可能性が高いと思うが間違っているかもしれない。それにいつ状況が変わるとも限らない」と考えるのとでは、大きな違いです。後者のほうが長く相場を続けられることは明白です。

為替と株式の違い

   株式相場の場合は、中長期では右肩上がりを前提とすることはできます。株価は企業の収益活動の結果ですし、インフレも株価を上昇させるからです。しかし為替相場は相対的価値なので(参考記事:為替相場の特徴)、FXで利益を上げるためには相場を予想するという行為から逃れることはできません。ですからランダムウォーク理論のように、ファンダメンタル分析テクニカル分析も否定するわけにはいきませんし、「予想は無駄」という立場はとれません。ただ、予想は実に不確実なものであるということは肝に銘じておきたいものです。

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