為替相場の特徴
為替相場の最大の特徴は、相対的な価値であるということです。為替相場はとりもなおさず二つの通貨の交換レートですから、絶対的な価値基準といいうものがありません。割安か割高かを判断できる分かりやすい指標がないのです。この点を株式と比較してみましょう。
株価の判断基準
株価には適正価格かどうかを測る指標があります。最も一般的なのはPER(株価収益率)でしょう。1株あたりの収益を計算し、株価がその何倍かを表した指標です。絶対的ではありませんが、一定の判断基準になります。世界の株式市場でも共通の尺度として用いられています。また、PBR(株価純資産倍率)も重要な指標です。その会社が持つ純資産総額(現金や不動産などの資産から負債=借金を引いたもの)を1株あたりに引きなおしたものです。投資家は、これらの指標を参考にして、株価が割安か割高かを判断します。特にPBRは、理論的には株の価値そのものといってもよいのです。
為替相場は交換比率
FXの対象である為替相場はどうでしょうか。為替相場がモノや株価と決定的に異なっているのは、2通貨の相対的な価値だということです。つまり為替相場はプライスではなくレート(交換比率)だということです。株式は、その会社が倒産すれば価値を失いますが、通貨ではそういうことは起こりません。無価値になることはないのです。また、ドルが円に対して値上がりしている一方で、ユーロに対しては値下がりしている、という状況が起こったります。
為替相場は相対的な価値であり、通貨の組み合わせも多種多様なので、割高・割安を判断する基準として広く用いられている指標はありません。ただ、まったくないわけでもありません。長期の相場であれば、購買力平価を基準にすることができます。次のページでは為替相場に関する有力な理論である購買力平価説について解説します。