ゼロサムゲーム

ゼロサムゲームとは

   ゼロサム(Zero-sum)とは、合計がゼロになるという意味です。ゼロサムゲームは、ゲームで発生した損得の合計がゼロになるようなゲームのことです。例えば4人の男女がカジノに行き、空いていたテーブルに座ってポ−カーを始めたとしましょう。4人は入口で交換したチップを賭けます。最初に持っているチップの数は皆同じです。楽しい時間を過ごした後でひとまずゲームを終えることにしました。この時点で各自が保有するチップは変動しています。しかしそれは4人の中で移動したに過ぎず、総チップ数に変化はありません。別の言い方をすれば、4人の中でプラスの者がいれば必ずマイナスの者がいます。これがゼロサムゲームです。なお、ゲームと言っても必ずしも遊戯的なものを意味するわけではないのですが、ここでは本題ではないのでスルーしておきます。

   一方、ゼロサムとはならないゲーム(ノンゼロサムゲーム)とはどんなゲームでしょうか。例の4人はチップを元の状態にリセットして、別の空いたポーカーテーブルへ移動しました。ここでは特別なルールが設定されていて、1時間以内に10回以上の勝負を達成すると、特別ボーナスのチップが全員に進呈されると言うのです。もし達成できなくてもペナルティーはありません。当然4人は一致協力してスピードアップを図ります。そして首尾よく達成できたとしましょう。この結果、それぞれが持っているチップは変動して勝者と敗者は存在するものの、総数は増加していることになります。この点だけを見れば全員が勝者と言えますし、このゲーム全体の結果はプラスサムです。

FXはゼロサムゲームか

   FXは、必ず反対売買を伴うという点でゼロサムゲームです。ある通貨ペアを買った人が利益を得られれば、その相手として売った人はその分だけ損をしていることになるからです。FXの特徴であるスワップポイントについても同様です。誰かの利益は必ず誰かの損です。同様のことは証拠金取引全般に言えることで、元資産が通貨であれ株であれ商品であれ、みなゼロサムゲームです。

   これに対して株の現物取引はノンゼロサムゲームです。例えば、ある新興企業が上場することになり株が売り出されとします。その後この企業は大いに儲けて総資産額が大きくなり、それに連れて株価も上昇します。この時点では、買った人全員が勝者です。一方売り出した会社も別に損をしているわけではありません。

   次に、買った人の一人が利益確定のために転売したとしましょう。その後もこの企業は発展を続けます。すると途中で買った人も儲かるので勝者です。では転売した人は敗者でしょうか。確かに保有し続けていればもっと儲かったわけですが、実際に損失が発生したわけではありません。つまりこの企業の価値自体が上がっている限りゲーム自体がプラスサムなのです。なので、現物株にこだわる人は、FXや先物はゼロサムゲームに過ぎないが、現物株は企業価値の増加に投資する経済行為だと言います。確かにそうなのですが、企業の経営が悪化に転じ最後は倒産したらどうでしょうか。その時は全員が損をするというマイナスサムのゲームになってしまいます。為替相場は相対的な価値なのでゼロにはなりません。値動きも株に比べて限られています。ゼロサムゲームだからと言って投資に向いていないということではないわけです。

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