スワップポイントの仕組み

スワップポイントとは

   スワップポイント(Swap Points)はFXの大きな特徴の一つです。金利差調整分と言われることもあるように、通貨間の金利差から発生するものです。原則として、相対的に高い金利の通貨を買って低い金利の通貨を売る取引を行うと、その金利差が収益として受け取れます。逆に、相対的に低い金利の通貨を買って高い金利の通貨を売る取引を行うと、その金利差を支払う羽目になります。

高金利通貨 低金利通貨 スワップポイント
買い 売り 受け取り
売り 買い 支払い

  • 金利差と言っても業者のコストや利潤が含まれるので、実際には純粋な金利差ではありません。また、金利差がほとんど無い場合は売り買いどちらも支払いになったり、著しく取引量が減るなど相場の状況によっては金利差を反映しなくなる場合もあります。詳細は後述します。

スワップポイントの仕組み

   スワップポイントは、建玉を有している限り毎日(原則日曜日も)発生します。例えば、スワップポイントが1取引単位あたり100円の受け取りだとして、1年間変わらないと仮定すると、1年後には36,500円の収益となるわけです。もし、この建玉を保有するために10万円の証拠金を充当したとしたら、36.5%の運用利回りです。ただし、これは為替相場が変動しなかった場合であり、実際には、為替相場で発生した損益が加わることになります。

『金利差がなぜそんな高利回りにつながるの?』
『確かに、円金利が1%でドル金利が5%としても、金利差は4%にすぎませんね。なぜこれが高利回りを生むのかと言えば…』

   それは、FXではレバレッジが効くからです。つまり、少ない取引証拠金でその何倍、何十倍もの取引を行うことができるからです。

1万ドルのドル買い/円売り取引を行った場合

  1. 充当している証拠金は10万円(例えばの話し。もっと少なくすることも可能だし、多くする事も可能)
  2. でも実際に行っている取引は110万円(為替相場が1ドル110円の場合)
  3. ドル金利が年率5%、円金利が年率1%とすると、
    受取り金利は…110万円×5%=5万5千円
    支払い金利は…110万円×1%=1万1千円
    その差は4万4千円(年間)。
  4. ここから業者の経費や利潤を引いたものがスワップポイントとなる。なお、日々のスワップポイントはそれを365日で割ったもの。

   上の例では、スワップポイントが1年間変わらないと仮定しましたが、実際には変動します。具体的には各国の短期金利に連動しています(日本円なら無担保コール翌日もの金利が指標)。ドル/円の取引を行った場合、ドルの金利か円の金利が変動すれば、スワップポイントも変わります。また、両通貨の金利が逆転すると、スワップポイントも支払いから受け取りに、あるいは受け取りから支払いに変化しますので、この点は注意が必要です。

スワップポイントが金利差を反映しない場合

   スワップポイントは通常、取引する2通貨の短期金利差であると説明されますが、必ずしもそうなっていないことがあります。理由はいくつかあります。

   まず、2通貨間の金利差が無いかわずかな場合。この場合は、業者がスワップポイントから利益を抜いていると、買いも売りもマイナスになることがあります。また、業者が抜かなくても、カバー先の銀行がもともとそのような額を出してくる場合もあります。これらは構造的なことが原因で、異常というわけではありません。

   次に、取引が自由化されていない通貨の場合。例えば元(人民元)ですが、スポット取引の市場がないので、銀行はNDF(Non-Deliverable Forward)という市場を使ってヘッジします。これは、現物の受け渡しを行わない差金決済方式のみの先物市場です。元の先高感が強いと、先物のレートも高くなり、これがスワップポイントに還元されます。元のほうか金利が高くても、スワップポイントはマイナスになってしまう原因です。

   最後に、取引量が少なく流動性の低い通貨の場合。ちょっと古い話しですが、平成20年の4月、アイスランドクローナ/円の買い持ちがマイナススワップとなりました。このとき、アイスランドの政策金利ターゲットは15%。日本は0.5%でしたし、実際の短期金利もターゲット近辺にありました。スワップポイント=金利差と理解していると、合点がいきませんね。スワップポイントは確かに短期金利の差を映しますが、それ以外に需給関係なども関係してくるため、こういう現象が起こるのです。

   需給関係ならレートそのものに反映するはず、と思われるかもしれませんが、スワップポイントの発生にはスポット取引とは別のトモネ取引というものがからんできます。このトモネ取引が、スワップポイントと金利差が乖離する原因なのです。以下ではトモネ取引について解説します。FXの仕組みとしてここまで知っておく必要はありませんから、飛ばしていただいてもOKです。

トモネ取引

   トモネ取引は、スポット取引ベースのFXが、決済を繰り延べていくうえで必要欠くべからざる取引です。また、スワップポイントが発生する原因もトモネ取引にあります。まずはその概要をご説明します。例として、あなたがドルを買い建てたとして話しを始めましょう(ペア通貨は円です)。説明を分かりやすくするために、今日は月曜日と考えてください。

   業者はこの取引に対応するため、カバー先のA銀行に対して同じくドルの買い注文を出します。A銀行はこれを受けて業者にドルを売る一方、別のB銀行からスポット取引と呼ばれる取引でドルを手当てします。この結果、A銀行はB銀行に対し、ドルの購入代金として円を振り込まなければならなくなります。ただし、当日ではなく2営業日後と定められています。スポット取引のルールでそうなっているわけです。しかし、A銀行はカバー取引のためにB銀行とドル買いの取引を行っただけですから、実際に今すぐドルを必要としているわけではありません。業者と行ったカバー取引が決済されるまで(すなわちあなたが決済するまで)、A銀行も決済を先延ばしにしたいわけです。

   そこでA銀行は、火曜日に次のような取引をB銀行と行います(実際にはB銀行とは限りませんが、分かりやすいようにそう仮定します)。スポット取引の決済日である水曜日づけでドルを売り、木曜日づけで買う取引です。これは、スポット取引とは別のトモネ取引といいます。トモネはトモロー(明日)ネクスト(その翌日)の略。この取引を行った結果、水曜日に実行されるはずだったドル/円の交換は相殺されて無くなり、木曜日に先延ばしになります。A銀行は、あなたが決済を行うまで、このトモネ取引を続けるのです。

トモネとスポットのレート差がスワップポイント

   以上が、本来なら2営業日後に決済されなければならないスポット取引が、決済せずに繰り延べられていく仕組みです。次にスワップポイントが発生する仕組みをご説明しましょう。話しを分かりやすくするために、あなたが買ったドルのレートは、その後変動しなかったと仮定します。

   さて、上でご説明したように、A銀行はスポット取引の後でトモネ取引を行いますが、トモネで買うドルのレートは、たとえマーケットが動かなかったとしても、スポット取引のレートと同じではありません。決済日が1日ずれているためです。原則として、ドル/円の1日分の金利差を差し引いた分だけ安くなるのです。原則として、『トモネレート+金利差分=スポットレート』となります。この、トモネレートとスポットレートの差こそが、スワップポイントなのです。

   注意したいのは、両者の差は基本的には金利差であるものの、必ずしもそうなるとは限らないということです。トモネレートは金利差の他にも需給関係などを反映して決まります。特に流動性の低いマイナー通貨などは、裁定が働かず、金利差を反映しないことがしばしばあります。政策金利(短期金利の誘導目標)が高いからといって、スワップポイントも高いとは限らないのです。

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