BIS(国際決済銀行)

BIS(国際決済銀行)とは

BIS

   BIS(Bank for International Settlements)は、中央銀行間の通貨決済や預金の受け入れなどを業務とする国際機関で、日本では国際決済銀行と呼ばれています。1930年に第一次世界大戦で敗戦したドイツの賠償金支払いを統括する機関として設立されました。本部はスイスのバーゼルにあります。

BIS規制とサブプライム問題

   BISの中にはバーゼル銀行監督委員会(Basel Committee on Banking Supervision)が事務局を置き、いわゆるBIS規制を打ち出しています。1988年に先進国の金融当局が合意した規制内容は、国際展開する銀行はリスク資産に対する自己資本の比率を8%以上に維持するというものでした。ところが、米国の銀行は信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライムローン)債権をそのまま保有すると信用リスクがあるため、特別目的会社や証券会社に売却してバランスシートから切り離し、BIS規制を回避していました。

   また米銀は、連結対象外の特別運用会社を通じて資産を運用。証券化商品を担保とするコマーシャル・ペーパーを発行して短期資金を調達し、高利回りのサブプライムローン証券で利ざやを稼いでいたのです。規制が緩く、資金繰りが悪化しても銀行の財務諸表には載らないため、その実態もはっきり把握されていませんでした。いわゆるサブプライム問題の始まりです。

   また、米国の投資銀行は銀行に当らないため、BIS規制は適用されませんでした。リーマンブラザーズはサブプライムローン証券のリスクを過小評価し、安易な借り入れによって自己資本の約30倍ものレバレッジを効かせて高収益をあげていました。こうしたことが、リーマンショックを生む温床となっていったのです。

   為替相場と関係の深い国際機関というと、まずIMF(国際通貨基金)を思い浮かべる方が多いと思いますが、銀行規制の本山であるBISも深い関係を持っているわけです。

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