合意なき離脱

EU離脱を決めたイギリスの国民投票

   2016年6月23日、イギリスはEU(欧州連合)からの離脱を問う国民投票を実施しました。いわゆるブレクジット問題です。その結果は51.9%対48.1%と、わずかに離脱支持が残留支持を上回りました。これを受けて当時のキャメロン首相が辞任し、後任となったメイ首相は2017年3月、EUに対して正式に離脱意思を通告。2年の交渉期間を経て、イギリスはEUから離脱することとなったのです。その日は2019年3月29日です。

合意なき離脱とは

   離脱を決めたイギリスにとって重要なことは、離脱によって生じる様々な問題への対応をEU側と合意しておくことです。もし何も合意できないまま離脱すると、様々な分野で混乱が生じると予想されます。例えばEU城内にある英銀の支店は営業ができなくなったり、輸出入の手続きに時間を要したりといったことです。

   英シンクタンクの国立経済社会研究所は、2019、2020年のイギリス経済について、合意なき離脱となった場合にはわずか0.3%の成長に留まると予想しています(合意できた場合は1.9%、1.6%の成長)。またイングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は、合意なき離脱になれば1970年代の石油危機に匹敵するショックが英国を襲うと警鐘を鳴らしています。

合意なき離脱の影響

   こうした事態を防ぐために、イギリスとしては経過処置について合意しておきたいわけですが、合意なき離脱が徐々に現実味を帯びてきています。理由は、イギリス政府内で穏健派と強硬派が対立していることです。メイ内閣がEUと合意しても、議会で承認されなければ正式な合意には至らないのです。

ブレクジット

   上図は2009年から国民投票当日までを示したポンドの対米ドルチャートです。既に前年からブレクジットを材料をポンドは売り込まれていました。賛成派と反対派の勢力が均衡していたため、投票が近づくに連れて世論調査の結果に右往左往する状況でしたが、選挙結果を受けてやはりポンドは下落しました。またユーロも売られています。合意なき離脱はイギリスだけでなくEU全体の経済に悪影響を及ぼすことが予想されており、現実となった場合は大きな混乱を招くことになりそうです。(2018年11月記)

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