マイナス金利政策

準備預金制度

   我々が銀行に預金するように、各銀行は中央銀行である日本銀行にお金を預けています。これを準備預金制度といい、法律で定められたルールです。また、各銀行が日銀に持っている口座を中央銀行当座預金といいます。なぜこうした政策がとられているのかというと、一つには銀行間の決済(資金移動)をスムーズに行うためです。日銀に依頼すれば、実際に現金を動かすことなく資金移動が完了します。また、万が一の際には日銀が資金を貸し出すので、決済不履行で信用収縮が起こってしまう事態を避けることができます。

金融政策と準備率

   こうした理由のほか、各銀行が集めた預金を中央銀行当座預金に預ける比率(準備率)が金融政策として利用できるという面もあります。準備率を引き上げることで市中の資金を吸収し、金融引き締めを行うわけです。逆に準備率を引き下げるとそのぶん銀行は企業への貸し出しを増やしますので、金融緩和効果が期待できます。しかし日銀は1991年10月以来、準備率を動かしていません。バブルの崩壊後、そうした伝統的な金融政策があまり意味を持たなくなったためです。

マイナス金利の導入

   ですが、他の諸国ではまだまだ準備預金制度が金融政策に利用されています。ECB(欧州中央銀行)が2014年6月に導入したマイナス金利政策もその一つです。これは民間銀行がECBに預金すると、金利をもらうどころか0.1%の金利を取られてしまうというもの(ちなみに中央銀行が民間銀行へ融資する際の金利は公定歩合です)。債務危機が長引いた欧州の銀行は融資の焦げ付きを恐れ、お金が余っていても貸し出しには回さず、ECBに預けるようになっていました。その額は1500億ユーロ(約21兆円)にも登りました。そこでマイナス金利にして、市中にお金が流れやすくしたわけです。また短期金利が下がってユーロ安につながることも期待できます。

   マイナス金利政策は前例としてデンマークが2012年7月に採用し、ある程度の効果はあったようです。しかしECBのケースでは思うような効果が得られず、結局2014年9月にはABS(資産担保証券)などの買い入れを決め、QE(量的緩和策)の一端へと踏み込むことになるのです。

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