ニクソンショック
ニクソンショックは戦後の通貨体制が固定相場から変動相場へ移行するきっかけとなった歴史的な出来事です。
米国の衰退
第2次大戦後、米国はわが世の春を謳歌していました。しかし大盤振る舞いの財政支出、完全雇用に伴う過剰消費などによって、1960年代後半から「財政赤字、貿易赤字、インフレ」の三重苦に悩まされるようになります。
一方、奇跡的な復興をとげて高度成長期にあった日本は、1969年から貿易黒字国になります。こうした世界情勢のなか、為替の固定相場制度を維持することは困難と見られ、投機筋が円やドイツ・マルクを買う動きが起こります。近年、新興国通貨にホットマネーが向かっているのと同じような現象が、40年近く前にも起こっていたわけです。
金本位制の終焉
追い詰められた当時の米国大統領は、議会に対する説明も承認を得ることもなしに、突然、テレビとラジオで全米に向けて経済政策を発表します。これが『ニクソンショック』です。1971年8月15日のことでした。ちなみに8月15日は日本では終戦記念日、米国では対日戦勝記念日の翌日にあたります。わざわざそういう日を選び高度成長を続ける日本にあてこすったという見方もあるようです。
ニクソン大統領が発表した政策はいくつかありましたが、目玉は何といってもドルと金の交換停止でした。この日、戦後における通貨体制の枠組みだったブレトンウッズ体制は、その根幹をなす金本位制度を失い、世界経済は大きな転換点を迎えることとなります。
なお、この出来事の1か月前月、当時冷戦状態にあった中国との国交正常化を突如発表しています。これを第1次ニクソンショック、上述の経済政策を第2次ニクソンショックという場合もあります。
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