為替相場と経済政策

   景気を浮揚させたり過熱を抑制したりするために実施される経済政策。それには大きく分けて二つの政策があります。財政政策と金融政策です。ここでは両政策の概要と為替相場に与える影響を整理します。

為替相場と財政政策

   財政政策は政府が国家財政を使って行う経済対策です。代表格は、国の財布から公共事業等へ投資し、内需を刺激する政策。景気浮揚策の4番バッターと言えるでしょう。「政府が○兆円規模の財政出動を決定」というニュースが流れれば、恩恵を受ける業界を中心に株式市場は素直に好感します。規模にもよりますが、ストレートで効果が出やすい政策なのです。景気が良くなればそこに様々な投資機会が生まれます。海外投資家から見ればチャンスですから、円に対する需要が高まります。つまり為替市場では円高方向にバイアスがかかるというわけです。

   財政政策には他に税制改正などがあります。例えば住宅減税を実施して住宅関連産業を活性化させる、あるいは一時的な所得税の減税で消費を刺激するなど。こうした税制対策も規模が大きく景気回復効果が期待できれば、円高方向に作用します。

   ただし、財政出動や減税で政府が大判振る舞いをすると、財政赤字が拡大するというジレンマがあります。今のところ日本の財政赤字が為替市場で問題視されるという事態には至っていませんが、いつかそうなる日がくるかもしれません。もしそうなれば、円は暴落の危機にさらされる可能性があります(参考記事:日本の財政事情と円相場

為替相場と金融政策

   金融政策は金利(利子率)を上げ下げしてお金の流通量(マネーストック)を調整し、景気をコントロールする経済政策です。実施主体は中央銀行で、日本なら日銀、米国ならFRBです。具体的には公開市場操作などのいくつかある手法を用いてマネーサプライを調整します。

   景気が悪い時は金利を下げてお金の流通量を増やし、投資や消費の需要を刺激します。しかし財政出動ほど効果的ではありません。むしろ、金融政策は景気の過熱を抑えたいときに効果を発揮します。その場合は金利が上昇するので、海外の投資家から見ると円の魅力が増しますから、円高要因になります。ただ金融を締め付けすぎて(これをオーバーキルと言います)景気低迷を招くこともあります。そうなると、円相場はピークアウトして円安に向かいます。

財政政策と金融政策の共通点と相違点

   どちらの政策もマネーストックの調節で景気をコントロールするという根底の部分は共通ですが、実施主体がことなります。また政治的なプロセスを要する財政政策よりも金融政策のほうが機動的なので、為替市場は普段から中央銀行の動向にアンテナを張っています。そのため、金融政策と為替相場の関係は財政政策に比べてより密接と言えるでしょう。

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