中長期の為替相場とマネーストック

マネーストックとは

   マネーストック(Money Stock)は世の中にあるお金の残高を示す指標です。日本では日銀が公表していますが、以前はマネーサプライ(お金の供給量)と呼んでいました。2008年6月公表分から、郵政民営化をうけて現在のかたちになっています。マネーストックには統計に含める対象の違いで複数の種類があります。

  1. M1=現金通貨+預金通貨(上記の変更でゆうちょ銀行などがM1に移されました)
  2. M2=現金通貨+国内銀行等に預けられた預金
  3. M3=M1+準通貨+CD(譲渡性預金)

   M1とM2では対象となる金融機関が異なっています。M1はM2の対象に、ゆうちょ銀行と共同組合系の金融機関を加えたものです。したがってM1のほうが統計の対象は広くなります。M3はM1と対象は同じですが、さらにお金の範囲を広げたもの。準通貨とは定期預金や外貨預金のことで、円としての流動性が低いものをさします。なお、M1の預金通貨には、要求払い預金(普通や当座など)と小切手・手形が含まれています。

マネーストックと為替相場

   マネーストックと為替相場には、中長期的に見ると相関関係があります。通貨の残高が多くなるということは貨幣価値の下落を意味するからです。例えば、ある時点のドルと円のマネーストックを基準として、1年後に円のマネーストックだけが増えたとすると、1ドルと等価となる円の量は比例して増えます。すなわち、円安となるわけです。こうした考えに基づいて考案されたのがソロスチャート。利用する統計はマネーストックではなくマネタリーベースですが、基本的な考え方は同じです。

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