ソロスチャート

ソロスチャートとは

   ソロスチャートはヘッジファンドの運用で名を馳せたジョージ・ソロス氏が考案したチャートです。特徴は、お金の供給量と為替相場にはある程度の相関関係があることに着目した点。具体的には日米のマネタリーベースの比率と為替相場を一つのチャートにプロットしたものです。

   下の図が実際のソロスチャートですが、左目盛にドル/円のレート、右目盛に日米マネタリーベースの比率(日本÷米国)を取ってあります。1987年1月から2009年2月までの期間の月足ベースです。チャートの上方向は相対的に日本のほうが、下方向は米国のほうが通貨供給量を増やしていることを示します。直近では、比率を示す青い線が急激に下がっていますね。これは米国のほうが通貨供給量を増やし金融が緩和的になっていることを示しています。

ソロスチャート

ソロスチャートの見方

   チャートを見ると、青い線と赤い線がある程度連動していることが分かります。マネタリーベースを増やしているほうの国の通貨が下落する傾向があるわけです。ただし、丸で囲んだ2001年〜2006年の期間は例外的な動きとなっています。この時期はバブル崩壊後の金融危機の中で日銀が量的緩和を行った時期ですが、銀行の貸し渋りでマネーストック(マネーサプライ)はあまり伸びませんでした。また、米国側もITバブルの崩壊で金融緩和を行っており、財政赤字の拡大もあって円高というよりはドル安の状況でした。

   マネタリーベースの比率と為替レートは、上記のような例外的な時期もあり常に連動しているわけではありません。ただ、日米の金利差が縮小すると、通貨の供給量が為替相場に及ぼす影響は高まると考えられます。ソロスチャートは、急激な米国の金融緩和がやがてドル安を招く可能性を暗示しているのかもしれません。

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