AIGの救済

AIG2007年から米国の金融市場ではサブプライム問題が表面化し、やがて世界を巻き込む未曾有の大混乱へとつながっていきます。この流れの中で2008年9月15日、米政府に見捨てられるようにリーマンブラザーズは破綻します(リーマンショック)。ところが翌日、米政府・FRBは、AIGに約8.5兆円のつなぎ融資を行うと発表。なぜ保険会社だったAIGはそこまで追い込まれ、また救済されたのでしょうか。

  • AIG:世界130以上の国・地域で事業展開し、従業員数約12万人。日本ではアリコジャパン、AIGエジソン、AIGスターの生保三社、AIU、アメリカンホーム、ジェイアイ傷害火災の損保三社を展開。

AIGの救済の裏舞台

   以下は関係者の証言などで明らかになったAIG救済の裏舞台です。日付は2008年9月。

12 格付け会社がAIG格下げの検討に入りました。もし格下げになると、融資を受けている銀行に対して追加担保を差し入れる必要が生じます。その額は約1兆円強。また解約などに応じるための資金も必要でした。AIGの首脳陣は緊急招集された会議でニューヨーク連銀に「5〜10日で資金が底をつく」と表明しています。
14 当面必要な資金は5兆円とはじかれました。
15 未明にリーマンブラザーズが米連邦破産法11条の適用を申請。明けた株式市場でAIGの株価は61%も暴落し、銀行は融資をしぶりました。
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米政府・FRBは銀行ではない保険会社に融資はできないという姿勢を示し、民間による融資を模索。
格付け会社が2〜3段階の格下げに動き、銀行の担保要求が殺到。AIGは破産申請の準備に入りました。
米政府は議会説得に動きました。そして、非常時に銀行以外への融資を認める連邦準備法第13条を発動し、AIGへの特別融資(約8.5兆円)を発表。

   米政府はつなぎ融資の対価として同社の79.9%の株式を取得できる権利を確保し、管理下におきました。つなぎ融資は2年間で、AIGの全資産を担保としました。金利はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の3カ月物に8.5%上乗せした水準。AIGはつなぎ融資で資金繰りをつけ、時間をかけて資産を売却して融資を返済する計画でした。

なぜAIGは救済されたのか

   上記のとおり、AIGの倒産は寸前で食い止められました。しかしそれにしても、なぜリーマンブラザーズは見捨てられ、AIGは救済されたのでしょうか。結局のところ「大きすぎてつぶせない(Too big to fail)」ということでした。AIGが小会社を通じて行っていたデリバティブ取引(主にCDS)の残高は270兆円。うち100兆円は欧米の主要12金融機関との取引でした。もしAIGが破綻すると破綻の連鎖が起こり、世界の金融界は取り返しのつかない事態を迎える可能性があったのです。

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