フラッシュクラッシュ

為替市場のフラッシュクラッシュ

フラッシュクラッシュ(Flush Crush)とは、ごく短い時間で起こる相場の急変動をさします。為替市場でもこれまで何度も起きていますが、近年は日本の早朝に起こる傾向が見られます。2016年の英ポンド、18年8月のトルコリラや南アフリカランド、19年1月の豪ドルなど。19年1月のフラッシュクラッシュは日本が正月連休のさなかに起こりました。これについてオーストラリア中央銀行(RBA)が次のような分析をしています。

1.薄い取引量

2019年1月3日の早朝、それまで108円台後半で推移していたドル円が突如急落し、数分間で4円以上も円高に振れました。RBAは2月5日に公表したリポートで、考えられる3つの要因を指摘しています。その1つが取引量の薄さ。為替市場はニューヨークで一日の取引を終了しますが、翌日最初に取引を開始するのはニュージーランド。その2時間後にオーストラリア勢が取引を始め、東京市場が開くのはさらにその1時間後です(参考:為替市場の時間帯)。この間の取引量は一日のうちで最も少なく、少し大きな注文が入ると値が飛びやすい地合なのです。

2.個人投資家のスワップ狙い

日本の個人投資家の投資行動も、円高を加速させた要因の1つとRBAは分析しています。日本の個人投資家は、スワップポイントを狙ってトルコリラ、南アランド、豪ドルなどを買うキャリートレードを行っています。積み上がったそのポジションが自動ロスカットで一気に巻き戻され、円買いを加速させたと考えられるのです。

金融先物取引業協会によると、2019年1月に店頭FX業者で発生した未収金は9億4300万円。2015年1月のスイスフランショック、11年3月の東日本大震災発生時に次ぐ、過去3番目の高水準となっています。3日のクラッシュでは、発生から1時間後には107円後半へ値を戻しました。そのため、ロスカットをせずにポジションを維持しれいれば、損失は回避できたわけです。しかしFXでは基本的に自動ロスカットが執行されてしましまいますので、多量の未収金が発生したのです。

  • 未収金…投資家はFX業者に証拠金を預託して取引を行います。取引で損失が発生すると、この証拠金で穴埋めされます。しかしフラッシュクラッシュのような状態になると、決済注文が約定しないケースが出てきます。すると損失の拡大にストップがかからず、証拠金で穴埋めしきれないことになります(いわゆる足が出た状態)。すると投資家は業者に追加で資金を預託しなくてはなりません。この追加送金が行われるまでの間、業者が投資家に対して持っている債権(投資家から見ると借金)が未収金です。

3.アルゴリズム取引

RBAが指摘する3つめの理由は、アルゴリズム取引です。アルゴリズム取引というのは、ソフトウェアによる自動売買のことですが、その中には相場急変時には取引を自動停止するよう設定されているものが少なくありません。このため流動性がさらに失われてしまい、値動きを加速させたというわけです。

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