国際収支

   国際収支(Balance of Payments)とは、外国との売買取引や貸借取引によって生じる収入と支出のことです。売買取引とはモノやサービスを売ったり買ったりする取引、貸借取引は貸したり借りたりする取引をいいます。それらの差である黒字額または赤字額は、その国の経済力を測るうえで重要な指標となり、為替相場にも大きな影響を与えます。

国際収支の内訳

   国際収支の中身を分解すると次のようになります。

  1. 経常収支…外国とのモノやサービスの流れを把握するために用いられる統計。
    • 経常収支は貿易収支、サービス収支、所得収支、そして経常移転収支からなる。日本の場合、高度成長期以降は貿易収支が大きなウェートを占ていたが、2005年頃からは所得収支の比率が高くなっている。
    • 貿易収支は一国の総輸出額から総輸入額を差し引いたもので、輸出が輸入を上回れば貿易黒字となる。
    • サービス収支は、旅行で使った宿泊費や運賃ほ他、特許使用料など。
    • 所得収支は、海外にある金融資産や子会社の配当など。
  2. 資本収支…投資などお金の流れを把握するために用いられる統計。
    • 日本から海外に投資した額と、海外から日本に投資された額の差を表す。日本の企業が海外の会社を買収したり投資家が海外株を買うとここに計上される。
  3. 外貨準備の増減…政府の市場介入などによって増減する。

   以下は平成28年度(29年3月期)の日本の国際収支です。※単位は億円。項目の名称は財務省の発表そのまま。

経常収支 218,127  
・貿易収支   45,936
・サービス収支   -5,378
・所得収支   177,569
資本移転等収支 -3,076  
金融収支 196,174  
・直接投資   143,773
・証券投資   65,164
・金融派生商品   18,555
・その他投資   -54,028
・外貨準備   22,709
合計 411,225  

貿易収支と貿易統計

   国際収支に含まれる貿易収支とは別に、貿易統計という統計もあります。貿易収支は所有権が移れば計上するのに対して、貿易統計は関税を通貨したものだけを計上します。例えば、日本が米国の人口衛星を購入して米国で打ち上げた場合、貿易収支には反映されますが、貿易統計には反映されません。なお、国際収支は日銀が集計し財務省が発表しています。

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