投資銀行

投資銀行とは

   投資銀行は Investment Bank の日本語訳です。このため「銀行」と名がつきますが、日本の銀行のイメージとはかなり異なります。日本で銀行と言えば、多くの店舗を持ち、個人から預金を集めて企業に貸し出すというビジネスを展開しています。これを商業銀行といいますが、投資銀行が手がける業務は、むしろ証券会社に近いものです。

   もともと米国では世界恐慌の教訓から、グラス・スティーガル法によって銀行と証券の兼営が禁止されていました。このため投資銀行では、新規発行される社債や株式の引き受け・売買仲介、M&Aの助言業務などが主な業務でした。しかし投資銀行の業務内容は、金融派生商品の発達などで徐々に変貌していきます。

   投資銀行の規模は商業銀行に比べれば劣っていましたが、そのぶん規制も緩かったのです。金融派生商品を積極的に取り入れ、リスクを取って利益を追求する姿勢を強めます。一方、1999年の規制緩和で、銀行の自己勘定による投資が可能になり、実質的な兼営禁止は廃止されました。こうした流れの中で、投資銀行はますます不透明な業務を手掛けるようになります。証券化商品を組成して投資家に販売するビジネスなども積極的に展開。レバレッジを効かせた自己勘定による投資も巨額の利益を生んでいました。

投資銀行の消滅

   しかし、バブルと呼べる米国の熱狂も、サブプライム問題の表面化によって終焉を迎えます。特に金融派生商品を積極的に手掛けていた投資銀行は、大きな痛手を被ります。2008年3月にはベアー・スターンズがJPモルガンチェースに買収され、9月にはリーマン・ブラザーズが破綻(リーマンショック)。それから1週間ほどの間に、メリルリンチがバンク・オブ・アメリカに買収され、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社への転換を決定。かくして、米国から投資銀行は消滅したのです。

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