休むも相場
「休むも相場」とはなかなか上手いことを言うものです。「そう熱くならずに一休みしなさい」「たまには相場から離れてリフレッシュしなさい」。そんな意味に捉えておけば間違いないと思います。確かに相場において休憩するということは大事なことです。特に大負けしたり大勝ちした時などは。でもそれだけでなく、為替相場と向き合うための基本的な姿勢も、この格言は教えてくれています。
中立・冷静であることの大切さ
為替相場はいつも動いていますし、FXは24時間取引可能ですから、いつでもチャンスはありそうに思えます。しかし実際には「今こそ仕掛け時!」と思える場面は少ないものです。手法にもよりますが、筆者の感覚では、日足ベースなら一つの銘柄で月に数回あるかどうか。また、その程度の頻度に対応する取引期間は1週間を超えることはありません。ですから、ポジションを持たない状態がけっこうあるわけです。時間足や分足をベースにすれば売買頻度はそれに応じて上がりますが、ポジションを持っている時間の割合は、基本的にあまり変わりません。持たない時間のほうが多い、というのが実際です。
これが相場では大事なんですね。売りにも買いにもバイアスがかかっていないニュートラルな立場で考えると、冷静に相場を見ることができます。そしてなにより心に余裕があるので、入口プランだけでなく、出口プランも練ったうえで、ポジションを持つことができます(参考記事:入口ルールと出口ルール)。しかし、始終ポジションを持っていると、損益が気になってなかなかそうはいきません。どうしても、色眼鏡で見てしまうのです。利食いや損切りの判断が難しくなるのはこのためです。
取引手法と休息
相場には「バイ&ホールド」と言って、長期間ポジションを持ち続ける手法もあります。代表的な例は現物株を用いた運用で、企業の成長に投資するために多少のことでは一度買った株は手放さないという場合。むしろ株式投資では王道なのかもしれません。FXの場合も、その国の成長を考えて長期投資を行うという選択肢はありえます。あるいは、中長期的な為替政策や金利政策をもとに半年や1年単位の売買を行う手法もあります。ただ、感覚的には外貨預金に近い性格の運用手法ですから、そもそも日々の相場に一喜一憂する類のものではないので、休むということを敢えて意識する必要はなさそうです。
「休むも相場」というのは、ある程度は短期的な売買を念頭に置いています。そうした手法ではとりわけ、中立な立場で少し高い所から相場を眺めることが大事になります(リスクラバーの傾向がある人はなおさらです)。ですから、初めからルールを決めておくことも一つの手でしょう。「損失を出した時は○日間相場は見ない」とか。また、それこそ本当に相場から離れて(旅行に出かけるなどして)、自分の行動を振り返って見ることも時には大切です。そうやって、だんだんと相場が上手くなっていくんだと思います。
この格言は、「頭と尻尾はくれてやれ」とともに、安定した成績を残すための二大金言と言っていいかもしれません。少なくとも当サイトで推奨する運用方針(FXの必勝法)には欠かせない姿勢だと考えています。
◎次のページ:週足には逆らわず、日足には逆らえ|前のページ:頭と尻尾はくれてやれ