5月に売り逃げろ

   「5月に売り逃げろ」は米国ウォ−ル街の格言で、原文は「Sell in May and go away」。ただ、格言と言うよりもアノマリーと言ったほうがいいかもしれません。米国の株式は年明けから徐々に上昇して5月頃に一旦ピークを付けるから、そこで利食いなさいという意味です。

   なぜ5月になると相場は反落するのか。その背景の一つに税制があります。米国ではサラリーマンであっても確定申告をして払い過ぎた税金の還付を受けます。会社が代行してくれる年末調整のような仕組みがないからです。その期間は年明けから4月の中旬までなので、5月頃には還付金を元手にした株式購入が一巡するという事情があるのです。また、ヘッジファンドの多くは11月決算であるため、中間期の5月には利益確定の売りが出やすい事情もあります。

   では実際にはどうなのか。2004年から2013年までの10年間で見ると、ダウ平均の5月の騰落は上昇が4回、下落が6回。経験則と言うにはちょっと心もとない実績です。この格言、鵜呑みにせず参考程度の留めておくほうが懸命と言えそうです。

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