アノマリー

   アノマリー(Anomaly)とは相場の世界における経験則や俗説のことです。もともとの意味は「変則的なこと、例外的なこと」。そこから「理論的な説明はできないけれど、経験上ある程度法則として認められる事象」をさします。

為替と株のアノマリー

   FXにおける代表的なアノマリーの例としては、11月から12月にかけては円安、2月から3月にかけては円高になりやすいというものがあります。これは、期末決算にむけて米国企業、日本企業が本国に利益を送金するいわゆるレパトリのためと考えられています。

   また、米国の株式市場では「5月に売り逃げろ」という格言があります。これは税金の還付制度が関係していると言われます。一方、日本の株式相場では8月が下げやすい月です。1998年〜2017年の20年間では7勝13敗。外国勢が夏季休暇に入る前に利益確定売りを出すためという説が有力です。

8月10月は要注意

   上記は季節的なアノマリーで、一応の理屈も付いているのですが、歴史的に見ると8月と10月には金融市場を動かすショックが起こりやすいというアノマリーがあります。

8月の例

  • 1973年…ウォーターゲート事件の責任をとってニクソン米大統領が辞任。この後、ダウ平均は翌年まで下落が続きます。
  • 1980年…メキシコ債務危機。国家による利払いの一時停止が宣言され、同国を初めとする新興国の株式市場・通貨は暴落。
  • 1990年…イラク軍がクェート侵攻し、翌年には湾岸戦争が勃発。
  • 1998年…ロシア危機。これを引き金に翌月にはLTCMが破たん。
  • 2007年…パリバショックリーマンショックへとつながるサブプライム問題の表面化。

10月の例

その他のアノマリー

10-12月は円安傾向

   安倍政権が発足した2012年から2017年まで、ドル円は6年連続で12月末のレートが9月末を上回っています。平均上昇率は7.3%。世界的な金融危機で円が急騰した2008年までさかのぼっても、同期間のドル円は7勝3敗でドルが上昇しています。こうした傾向は、越年を意識してドルに対する需要が強まるためだと考えられています。

米中間選挙年の為替相場

   米国で中間選挙が行われる年は、ドル円が選挙直前に安値をつけ、年末にかけて反転上昇する傾向があります。71年以降11回の選挙の平均では、年初から10月中旬まで6.5%下落し、その後12月初旬にかけて2.4%反発しています。

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