エコノミストは理路整然と曲がる
為替相場というのは、まったくの素人でも大勝することがあれば、ヘッジファンドのようなプロでも大負けすることがあります。相場には不確定要素が多く、運も無視できないファクターだからです。しかし運ばかりかと言えば、当然そんなことはありません。やはり、経験を積み技術を磨けば、相場はうまくなり安定して勝てるようになります。
その第一歩として、まずは為替相場のファンダメンタルズやテクニカル分析を勉強する必要があります。ファンダメンタルズとは、相場に影響を与える経済等の諸要因のこと、テクニカル分析とはチャートなどを分析することです。ただ、ファンダメンタルズにしてもテクニカル分析にしても、基本的なことを押さえたら、あとは実際にFXに取り組みながら憶えていけばよいでしょう。知識は重要ですが、理屈ばかり先行していても相場には勝てません。いくら教本を読んでも、実際にプールに入らないと泳ぎが上達しないのと同じです。
解説者とプレーヤー
相場の格言に、『エコノミストは理路整然と曲がる』という言葉があります。『曲がる』というのは、相場用語で『予測が外れて損をすること』を意味します。つまり、『エコノミストは経済情勢などをもとに理路整然と相場を解説するけれども、実際に売買をやってみると見事に損をする』というような意味です。
結果を見て講釈することは、スポーツの解説者に似ています。知識や経験に裏打ちされた解説は試合の観戦には欠かせないものです。でも、解説者はプレーをしません。FXでは、投資家が現金をもってプレーしなくてはならないのです。
もちろん、エコノミストも予想記事を書きますが、外れたからと言って非難を浴びたり、給料を減らされたりはしません。結果が出る頃には、もう別の記事を書いています。彼らはそれが仕事で、当たった時だけ「前回の記事では」とさりげなく触れておけばよいのです。しかし投資家は確実に資金が減ってしまいます。実戦で本当に役立つのは、後講釈するための知識や理路整然とした文章力ではありません。相場で勝つためには、判断力、自制心、勇気、メンタル・コントロールなどもっと重要な要素があるからです。