17)FXは博打(ばくち)か

   FXは本質的に丁半博打と同じだという見方があります。あるいは、パチンコや競馬などのギャンブルと大差ないと言う人もいます。本当でしょうか?。結論から言うと、それらはFXの一面ではあるものの、全体像とは言えません。この点を理解することは、FXトレーダーにとって大切なことです。FXでは博打的な要素をできるだけ排除することが勝つための鍵だからです。このページでは、「FXは博打か」という問いをテーマにしながら、FXで必勝を期すための姿勢を整理していきたいと思います。

FXで予想は禁物

   一口に博打と言ってもいろいろありますが、博打が博打と言われる由縁は「賭けの対象が多かれ少なかれ偶然に左右されるものである」という点でしょう。その極端な例がサイコロの目という100%の偶然に賭ける丁半博打です。結果は神のみぞ知る確率の世界です。一方、為替相場はそこまでランダムではありません。それどころか、3年とか5年の期間でチャートを見ると、明らかなトレンドを見い出すことができます。例えば下図はユーロ/ドルの月足チャートです。1999年1月から2017年12月までの19年間という長期間をプロットしたものですが、ほとんどの期間は上昇または下降トレンドの中にあることが読み取れます。

ユーロドル月足

  これは長めの相場はファンダメンタルズによって形成されるからです。また日足や時間足などの短い期間でもやはりトレンドを見つけることは簡単です。短期間の動向ではファンダメンタルズの影響力は下がりますが、ニュースやテクニカル要因で短期的な流れが生まれるからです。

   FXではこうした流れに乗ることが絶対条件です。逆に言うと、FXでは上がるか下がるかを予想すべきではありません。既にあるトレンドに乗ることが肝要なのです。ゆえにファンダメンタルズやテクニカルを勉強して予想の精度を上げようとするのは、あまり正しいアプローチとは思えません。それらは、トレンドの背景や確実性を判断するため、あるいは売買のタイミングを計るために必要なのだと位置づけるべきでしょう。一方、トレンドのさなかであっても次に上がるか下がるかは五分五分だと主張する理論もあります。ただそれは理屈の世界の話しであって、為替相場には常に大小のトレンドが発生していることは紛れもない事実です。

FXではスキルが結果を左右する

   トレンドに乗ると言っても、実際には言うほど簡単ではありません。建玉や決済のタイミングによって結果が大きく左右されるからです。また、トレンドがご短期間で終わってしまうこともありますが、そうしたときに判断を誤ると損失が膨らんでしまいます。こうした点もFXは博打と異なります。丁半博打や競馬では賭けた後は何もすることができません。結果を待つのみです。しかしFXではむしろポジションを持った後が大事です。そこにスキルを持った人と持たない人の差が出て損益が大きく左右されるのです。

FXで一攫千金を狙ってはいけない

   FXが博打に近いものと見られる最大の要因は、大儲けや大損の風評がついて回るからでしょう。確かにFXではレバレッジをかけることができますから、うまくすれば元手を何倍にすることも可能です。しかしそれを狙っていてはまさにギャンブルと変わりありません。初めからギャンブルと割り切るのであれば別ですが。結局のところ、FXが博打の様相を強めるかどうかは、その人の姿勢次第ということです。

   「必勝FX」では、一攫千金など忘れて地道に成果を上げていくことを推奨しています。またそのための具体的な方法も解説しています。まずは以下のページが参考になるかもしれません。

FXと博打の比較

   ここからは余談です。FXと代表的な博打の類似点・相違点を考察してみました。主に比較するポイントはどの程度偶然に左右されるのかという点と、参加者(客)が負うンデです。

◆FXと博打

   比較を始める前にそもそも博打ってナニという点を簡単に整理しておきます。民法では賭博(博打)のことを「勝敗が偶然性と関連する場合に、金銭等の財産を賭けて勝敗を争うこと。ただし一時の娯楽は除く」とされています。そこで疑問に感じるのは、スキルがものを言う場合はどうかとい点と、遊びで賭ける場合はどうかという点。前者については、少しでも偶然の要素があれば該当するということになっています。後者については、一回こっきりの遊びであっても、金銭を賭けると博打に該当してしまいます。ゴルフで金銭を賭ければアウトだけれどチョコレートならセーフというわけです。

   ではFXはどうかと言うと、まぎれもなく民法の「賭博」に該当します。ただこれはFXだけでなく、デリバティブ取引全般や保険なども同様です。にもかかわらず処罰の対象とならないのは、他の法律で規制されているからです。FXが日本に導入された当時はまだ金先法(後に金商法へ合流)ができていなかったので、初期の業者は賭博罪に問われるリスクを負って参入したことになります。

  • 賭博行為は犯罪ですが、以下では分かりやすいように「掛け金」という言葉を使っています。

◆FXと丁半博打

   既に書いたように、丁半博打の勝敗は偶然性(確率)が支配する世界です。ただ選択肢は丁(偶数)か半(奇数)かの二つに一つですから、どちらか一方に賭け続ければ勝敗は結果的に同数になるはずです。丁半博打では胴元による賭け金のピンはねがありませんから、勝負の損益は限りなくゼロに近づいていくことになります。こうした構造はFXに似ています。FXも単純化すれば上がるか下がるかのニつに一つですし、ピンはねもありません。

   しかし丁半博打には客側が背負う大きなハンデがあります。テラ銭です。客は勝負ごとに賭け金の他にテラ銭を払う必要があり、これが胴元の取り分となります。結局のところ、客は勝負で勝つ確率は五分五分なのだけれど、テレ銭で確実に損をするというわけです。それが分かっていてなぜ人は賭博場に足を運ぶのか。言うまでもなく博打の持つ娯楽性とたまには大勝ちするという射幸性です。

   FXでは胴元自体存在しませんが、取引ごとにスプレッドや外付けの手数料を負担するという点は似ています。テラ銭の大きさに比べると微々たるものではありますが。

◆FXと競馬・競輪・競艇

   このグループも丁半博打と同じく、結果を予想して賭けますが、予想の精度を上げることが可能という点で大きく異なります。例えば競馬であれば、過去の戦績や血統という情報を活用すれば、あてずっぽうよりも予想の確実性は格段に上がるはずです。丁半博打と違って選択肢が多いという点はやっかいですが、本命にかけ続ければ勝率自体は悪くないはずです。しかもテラ銭に相当するものがありません(入場料は勝負ごとに払う必要がありませんしそもそも場外馬券なら不要です)。

   しかし競馬では客側が負わなければならない大きなハンデがあります。胴元のピンはねです。客が馬券を購入するために支払った賭け金の75%しか配当に回らないのです(正確には入場料や物品売買等も含みますが)。つまり客全体で見ると、25%は必ず損をする仕組みなっているのです。それらは胴元(主催者)の運営費、賞金等に充てられるほか、政府に上納金として収められます。公営ギャンブルと言っても、その構造は昔からのやくざな世界と何ら変わらないのです。

◆FXと花札・麻雀

   ここでは花札博打と麻雀を一まとめにしました。共通性があるからです。それは、賭け(予想)を行うわけではなく参加者同士が勝負すること、勝負の結果は運に左右されるけれどスキルも重要な要素であること、賭け金は勝者が総取りするということ。なので博打と言っても、娯楽の性質が強くなります。他にも囲碁将棋、ゴルフなど競技は何でもいいわけです。

   このグルーの最大の特徴は、参加者がテラ銭やピンはねに相当するハンデを負わないという点です。遊戯費用は別として、損得は純粋に勝敗に左右されます。そう見てみると、花札・麻雀には不条理な要素がありません。そもそもが娯楽だからです。

◆FXとパチンコ

   カジノのスロットマシーンも同類です。このグループも予想とは無関係の勝負事ですが、客が勝負するのは機械。そしてその機会は運営者がコントロールしています。勝率をいかようにも設定できるのです。こうなるともはや博打とは言えないような気がします。射幸心を利用した不当な搾取行為と言っても過言ではないように思えます。そういう遊戯だと言ってしまえばそれまでですが。もちろんFXとは比較の対象にもならないのですが、一応博打の類似ものとしてあげておいた次第です。

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