ドル円と日米金利差
高い相関性
為替相場の決定要因はいろいろありますが、金利差は最も重要な要因の一つです。特に比較的短期の相場に対する影響度は、通常の市場環境であれば最も高いと言えます。これは、機関投資家から個人にいたるまで、その投資行動が金利に大きな影響を受けるためです。金利といっても短期から長期までいろいろありますが、ドル円では2年もの国債が指標とされることが多いようです。これはFRBの金利政策を最も素直に反映するのが2年ものといわれているからです。そこで、実際に金利差とドル円相場にどの程度相関性があるかを見てみましょう。
チャートは、少し古いですが(2001/1/3〜2013/3/25)、日米の2年もの国債の金利差とドル円相場の日足をプロットしたものです。確かに相関性が高いことがうかがわれると思います。ただ、相関性が崩れている局面も散見されます。このようなときは、その他の要因(例えば政治的な要因など)が為替市場のテーマとなっているときです。
相関性の崩れ
このように金利差動向と乖離した動きがあった場合は、遠からず修正されることになります。その乗離はおおむね8%〜12%程度であるとの見方もあります。そこからすると、2013年の動向は歴史的に見ても特異な状況と言えます。日米の金利差が広がらない状況で強い円安トレンドが発生しているからです。言うまでもなく、日銀によるサプライジングな金融緩和がユーフォリアに似た状況を誘発したからですが、このまま円安トレンドが継続するためには、いずれ米金利の上昇が必要になってきます。もし米国の景気が見込み通りに回復せず、金利の低位安定が続くようなら、円安トレンドが修正される可能性があります。
なお、上記のチャートは日米当局が公開しているデータから作成したものです。下記手順で誰でも利用できますので、日ごろからウォッチしておくとよいでしょう。
データの取得
1.日々の利回り
米国債の日々の利回りは、FRBのホームページにある「Selected Interest Rates (Daily)」の中の『Treasury constant maturities』と題された部分で確認することができます。直近5日分が掲載されています。日本国債は、財務省のホームページにある「国債金利情報−金利情報」でみることができます。
- 米国債の正式名称はUnited States Treasury securityで、満期が52週以下の割引債である短期国債(Treasury Bills)、2年〜10年の利付債である中期国債(Treasury Notes)、30年の利付債である長期国債(Treasury Bonds)に区分されています。
2.米国債データのダウンロード
米国債の利回りデータをダウンロードすることもできます。日次データから年次データまでがあり、各種ファイルタイプが用意されています。まず、Data Download Program へ行き、"Build your package"の囲みにある"Build package"をクリックします。そして以下の手順に従って進んでください。
- 『1. Data set(choose one)』で『Selected Interest Rates』を選んで"Continue"をクリックします。
- 『2. Instrument』で『Select Instrument(s)』の『TCMNOM』を選んでください(プルダウンで選びフィールド外でクリックすると確定します)。そして"Continue"をクリックします。
- 『3. Maturity』は償還期限なので目的に応じて選択すればOKですが、特になければ10年ものの『Y2』を選んで"Continue"をクリックします。
- 『4. Frequency (choose one)』は集計頻度なので目的に応じて選択すればOKですが、通常は『Bisiness day』を選んで"Add to package"をクリックします。
- "Format package"をクリックします。
- 『Format your package』のページではデータの数量(Observations)または期間(Dates)、ファイル形式、データ見出しの有無、縦/横のレイアウトなどを指定します。指定したら"Go to Download"をクリックします。
- ファイルフォーマットを確認して変更がなければ、"Download file"をクリックします。ダウンロードフォルダに「FRB_H15」で保存されます。
3.日本国債データのダウンロード
日本国債の過去データは、財務省が「国債金利情報−過去の金利情報」でCSVデータを公開しています。ただし、日次データのみです。
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