為替相場とサプライズ
サプライズ(Surprise)とはもとより”驚き、意外なこと”といった意味ですが、為替相場ではこのサプライズが重要な要素になります。例えば各国の中央銀行が行う金融政策の発表などでは、どんなに重要な決定であっても事前に予想された通りの内容であった時は影響はほとんどありません。これは、相場が事前にその決定を織り込んでしまうからです。市場参加者の確信が強ければ強いほど、織り込みの度合いは高くなります。
逆に、予想外の決定が行われた場合、つまりサプライズがあった場合は相場が大きく動きます。相場というものは予想しうる事態を織り込みながら形成されていくので、サプライズがあると急激な修正が起こるわけです。重要な政策や経済統計の発表がある時は、サプライズによって相場が急変するイベントリスクがありますので、十分な注意が必要です。雇用統計、FOMC、ISM景気指数などはサプライズがありえる定例のイベントです。スケジュールは事前に把握しておきましょう。
エコノミック・サプライズ指数
サプライズを数値で把握することは難しいですが、米シティグループではサプライズを指数化して公表しています。エコノミック・サプライズ指数(Economic Surprise Index)といい、各種経済指標と事前予想との食い違い(乖離幅)を指数化したものです。ゼロが予想通りを示し、ゼロから上下に乖離すればするほど予想外だったということを示します。上限・下限の数値はありませんが、下のチャートから分かるように、概ね+100〜-100の間に収まっており、+50〜-50が中心ベルトと言えます。
例えば、雇用統計で良好な数字が発表されたとします。それに対するに対するエコノミック・サプライズ・インデックスは+100とプラス方向に大きくぶれたとします。するとエコノミストの予想以上に景気が良かったわけですから、ポジティブ・サプライズということになります。