スイスフランショック

スイスフランショックとは、2015年に起きた為替相場における歴史的な事件のことです。スイス中銀の突然の政策変更によって、スイスフラン(以下、フラン)とユーロの交換比率が短時間で大変動しました。

スイスフランショックの背景

2011年にユーロ危機が起こりましたが、この時ユーロを売ってフランを買う動きが高まりました。観光国スイスにとって、自国通貨が高くなりすぎることは弊害が大きくなります。そこでスイス国立銀行(中央銀行)は、2011年9月6日にユーロの対フラン相場に下限(フランから見れば上限)を導入。ユーロが1.20フランを割り込む場合には、無制限に為替介入行うと宣言しました。実際、その後は1.20が鉄板のフロアとなり、ユーロ・フランの相場は長らく膠着状態になります。

突然の政策変更

しかし2015年に入ると、欧州中央銀行の量的緩和策の導入観測が強まります。このため、ユーロの売り圧力はますます強まっていました。その圧力に耐え切れなくなったスイス国立銀行は、突如この政策を破棄するとアナウンスしたのです。1月15日の朝(欧州中央時間の午前9時)、日本時間では午後6時のことでした、理由は、維持可能な政策ではないと結論づけたからと説明されました。為替市場ではまたたく間にユーロ・フランの買い注文が蒸発。気配値だけがつるべ落としのように下げていったのです。

流動性が消えた50分間

下図はその前後の様子を示したチャートです(15分足)。いかにこの時の変動が大きかったかが分かります。さらに細かく説明すると、9時にアナウンスがあってユーロは1.20フランから暴落を始めますが、約50分後に0.83フラン前後で底をつけることになります。その後は買い注文が増えていき、10分後には1.05フラン前後まで戻しています。これをドル円相場に例えると、100円だった円が50分間で70円まで円高になり、10分で88円まで戻したようなものです。

スイスフランショック

自動ストップロスも機能せず

この事件で、ヨーロッパのFX業者が何社か破綻しました。また破綻しないまでも、多くの業者が多額の損失を被りました。自己取引の損失のほか、顧客未収金が大量に発生したのです。日本ではヨーロッパほど被害は大きくなかったものの、スイス国立銀行の介入を拠り所にユーロ・フランの買いを行っていた投資家もおり、こうした投資家は多額の損失を被りました。市場からユーロ買いの注文が消えたため、自動ストップロスのユーロ売り注文がなかなか約定しなかったからです。FXの自動ストップロスという仕組みは優れた機能ですが、急激に変動する状況では、損失が予想外に拡大することもあります。スイスフランショックはまさにそのリスクを投資家に示した事件でした。

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