日本の政府債務は危機的状況と言われています。為替相場への影響はありますか?

answerIMF(国際通貨基金)によると、平成25年の時点で日本政府が抱える債務残高の規模は、GDP(国内総生産)の2.45倍にもなります。これほどまでに巨額の借金を負ってる政府は他にありません。国際的な資本移動が自由化された1980年代以降では、先進国で2倍を超えた国はなく、経済的に自立できてない途上国などで見られるだけです。ギリシャ債務危機の最中にあったギリシャでさえ1.7倍程度でした。日本は近代経済が経験したことのない領域をつき進んでいるのです。

   にもかかわらず、日本売りという状況はまだ発生していません。これに対してよく聞かれる説明は、「日本は家計や企業が多額の余剰資金を有しており、それで国債の大半が消化されているので、まだしばらくは大丈夫」というもの。確かに、日本国債は暴落するどころか、史上最高値に近い水準を維持しています。円安にはなりましたが、日銀の異次元緩和とアベノミクスによるもので、信用不安で起こる悪い円安ではありません。しかし、高齢化が加速度的に進行する日本で、いつまでも持ちこたえられないことは自明でしょう。もしその時の到来を市場が感じたら、ユーロ危機のユーロのように円も売られることになります。

   こうした事態を避けるためには、財政再建に取り組むしかありません。まず必要なのは財政収支をトントンまで持っていくことです。それには財政の緊縮すなわち社会福祉費用などの出費を減らすことが必要です。ところがその規模が尋常ではありません。いくつかの試算がありますが、概ね年50兆円強。これは政府予算の7割にも相当する巨大な数字なのです。早い話しが実現はまず不可能。

   そこで増税などで歳入を増やす必要がありますが、消費税だけなら20%程度が目途とも言われています。国内の余剰資金が枯渇して投機筋の標的になる前に、本当に財政は再建できるのか。世の中にはもはや不可能と割り切って預金封鎖に備える人達さえもいます(参考記事:デフォルト)。そこまで考えるのはちょっと行き過ぎだとしても、何事にも備えは必要です。例えば国債の下落(長期金利の上昇)で利益が出る投資信託もあります。また円安への対策にはFXを勉強するなどして、転ばぬ先の杖を用意しておくことが大切と言えるでしょう。

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