テクニカル分析と相場のスケール
相場のスケールとは
当ページのテーマである相場のスケールというのは、トレンド(相場の方向性)が発生している際の、その強さや規模をいいます。トレンドは、その時その時で震源(材料など)のマグニチュードが異なります。ですから、スケールも一様ではありません。これを見誤ると、大きな損失を被ってしまうことがあります。別の言い方をすれば、相場のスケールが一様ではないのに、使用しているテクニカル分析のパラメータがいつも同じでは、だましに会うのも道理ということです。
スケールとパラメータのミスマッチ
テクニカル分析におけるパラメータというのは、例えば、本日の移動平均を求める際に過去何日までさかのぼるかの設定をさします。何日で設定するかは使用者の判断による変数です。一般的に、テクニカル分析のパラメータは広く使用されている数字を用います。相場のスケールと既定のパラメータがマッチしていれば、そのテクニカル分析は入門書に書いてあるようなパフォーマンスを発揮するでしょう。しかしミスマッチだと、そうはいきません。
典型的なパターンは、RSIなどの逆張り系テクニカル分析で起こります。入門書では、RSIが30%や20%を割ると売られすぎの状態なので、買いのチャンスと書かれています。確かに、そこで買って反発することはよくあります。しかし、小反発したと思ったらすぐに下降トレンドに戻り、50%を回復しないことがあります。この状態だと相場はだらだらと下がり続けるわけです。何度も期待はずれを味わいながら損切りできないまま、再び30%を割るまで売られ、そこでようやく本格的な反騰を迎える。RSIの形状で言うと、二番底をつけたことになります。これが三番底まで行ってしまうことさえあります。下落相場のスケールが大きく、売られ過ぎの状態からさらに売られるという展開になってしまうのです。
ミスマッチは順張り系テクニカル分析でも起こります。例えば、ゴールデンクロスで買ってデッドクロスで売るような、単純な戦略を実践したとします。もしトレンドのスケールが大きいと、この戦略はよい結果を生むでしょう。しかしトレンドが長続きしないボックス相場のような場合は、パラメータがマッチしていないと、損失を繰り返す結果となってしまいます。
常にスケールを意識しよう
では、パラメータは常に見直さなければならないのでしょうか。確かにそれも一つの選択肢ではあります。しかし、手間ひまがかかるという難点があります。現実的には、いつも同じ設定を使うとい投資家が多いと思われます。その場合、これまでの述べてきたように、相場のスケールについて常に意識することが重要です。そのためには、トレンドの震源がどの程度のマグニチュードを持っているのか、マーケットの心理状態はどうなのかといったことにも気を配らなければなりません。テクニカル分析はFXにおいて大いに役立ちますが、過信しないことも失敗を予防するうえで大切なことです。
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