為替市場の取引高
最も取引高が多い市場は?
一日の為替市場はニュージーランドのウェリントンからスタートし、アジア、中東、欧州、米国へとバトンタッチされ、ニューヨークで終了します。その間にいったいどれくらいの金額が取引されるのでしょうか。外国為替市場は具体的な取引所が存在するわけではないので、取引高などに関する厳密な統計はありません。ただ、BIS(国際決済銀行)と各国の中央銀行が3年ごとに調査を行っており、概要を知ることができます。
2016年に行われた調査によると、大雑把に言って500兆円!。これは日本の名目GDPと大してちがわない数字ですから、為替市場がいかに巨大な市場か分かります。中でも最大の市場はロンドンで、全体の35%程度を占めます。朝から夕方までは、中東、欧州、北米などの取引時間が重なることと、シティー(ロンドンの金融街)が世界の金融センターだからです。次がニューヨーウ市場で20%程度。この二つが二大市場であり、東京、シンガポール、香港が7〜8%で横並びという状況です。ここ20年ほどの推移をみると、ロンドンがシェアを伸ばしており、ニューヨークもしっかりである一方、東京はやや地盤沈下気味と言えます。また、上記以外のその他の市場も縮小傾向にあります。
最も取引高が多い取引種類は?
外国為替市場で行われる取引の種類には以下の五つがあります。右の%は取引金額ベースのシェアです。
- スポット…49.3%
- フォワード…31.5%
- 為替スワップ…12.7%
- 通貨スワップ…1.6%
- 通貨オプション…4.8%
取引金額が最も多いのは実は為替スワップで、ほぼ半分のを占めます。スポットが1/3程度の、フォワードがと続きます。通貨スワップと通貨オプションは少なく5%に満たない程度です。ただ下の表のように市場ごとにも特徴があります。
スポット | フォワード | 為替スワップ | |
東京市場 | 27.5% | 15.7% | 51.6% | ロンドン市場 | 32.6% | 11.1% | 48.3% |
ニューヨーク市場 | 45.7% | 17.2% | 30.8% |
上記以外のアジアや欧州の中堅以下の市場では、為替スワップの比率が高い傾向があります。ロンドンとニューヨークは市場全体の規模が大きいうえに、スポットが占める比率も他に比べて高いため、FXの流動性はこの2大市場が他を引き離しているといえます。
FXではスプレッドが売買コストに相当しますが、このスプレッドは基本的に流動性と反比例します。流動性が高い通貨はスプレッドが狭くなる傾向なのですが、同じ通貨ならロンドン市場の時間帯が最も狭くなります(少なくともインターバンク市場ではそうです)。