インターバンク市場

   為替市場は大きく分けて、銀行同士で行う取引と、銀行と企業が行う取引から成り立っています。銀行同士の取引はいわば卸売りに相当し、為替相場を形成します。これがインターバンク市場(The interbank market)です。銀行と企業の取引は小売に相当します。取引量では銀行間取引が全体の7割〜8割を占め、一日の取引額は150兆円から200兆円。米国債市場をしのぐ世界最大の金融市場です。FXで為替市場と言えばインターバンク市場を指します。

インターバンク市場の取引

   インターバンク市場での取引は、取引所で売買が行われているわけではありません。証券市場のように取引所が実在しているわけではないのです。売買を行う当事者(銀行)同士が直接に一対一で取引を行います。これを相対取引と言います。取引を成立させる方法としては、相手を直接に呼び出すダイレクト・ディーリングのほか、EBS(外国為替電子取引システム)、ロイター端末(ロイターディーリング)、為替ブローカーなどを経由した取引があります。

   ダイレクト・ディーリングの場合、電話や電子端末で取引相手を呼び出し、希望する取引数量だけを伝えます。これに対して、相手は売値と買値の両方を提示する決まりになっています。これを2ウェイプライス(2ウェイクォーテーション)と言います。売りと買いのどちらの取引にも応じるということであり、公正なレートで取引ができるように考えられたしくみなのです。もし、初めから「買いたいので値段を提示して欲しい」と言った場合、相手は割高な値段を言ってくるかもしれません。常に売値と買値の両方の値段を提示することで、市場全体の信頼性が維持されているのです。

自由なインターバンク市場

   インターバンク市場は市場全体を管理する機構がないため、比較的自由な市場です。取引時間も特に定めはなく、相手さえいればいつもで取引が可能です。ただ、世界の各市場とも土・日と元旦などの祝日は参加者がいないので、休場状態になります。また、インターバンク市場には値動きの幅に制限がありません。取引所取引では、一般的に一日の値動きに上限下限が設けられていますが、インターバンク市場にはないのです。ただ、あまりに急激な変動に対しては、各国の通貨当局が市場介入を行ってコントロールすることがあります。

世界のインターバンク市場

   インターバンク市場は東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場が三大市場ですが、中でもロンドン市場が最大の取引高をほこります。一日を通すと、ロンドン市場の午後とニューヨーク市場の午前が重なる時間帯が最も活発になります。このため、スプレッドも全体的に安定・縮小傾向になります。日本ではだいたい21時頃から24時ころに当ります(夏時間と冬時間では1時間異なります)。詳しくは『為替市場の時間帯』をご覧ください。

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