FXの歴史
FXの誕生
FXの誕生は1990年代半ばの米国市場にさかのぼります。この頃から、米国の個人投資家の間では、取引所を介さない店頭取引というスタイルで、為替の先物取引やオプション取引が広がり始めました。しかし、当時は明確な法規制がなく、詐欺まがいの行為が横行。そこで米政府は2000年12月に商品先物近代化法(※1)を施行し、業者を届け出制としたり、商品先物取引委員会(※2)という行政機関に監督権限を与えるなど、一定の法整備が行いました。こうした経緯を経て、欧米市場やアジア市場でも、FXは次第に取引を増やしていきました。
FXの日本上陸
一方日本では、1998年末にFXを扱う業者が現れています。この年の4月に外為法が改正され、個人の為替取引が自由化されたためです(ネット証券の参入が認められたのもこの年です。松坂大輔投手が甲子園の決勝戦でノーヒットノーランを達成!なんてのもありました)。翌年もぞくぞくと参入組が増え、取扱い業者の数は2000年末には50社程度になりました。しかしこの頃から、FXに目をつけたブラック業者も参入するようになり、のちに社会問題化していくこととなります。
黎明期から発展へ
その後も、折からの円安傾向や日本の超低金利によってFXはぐんぐん人気を高め、市場規模は倍々ゲームで拡大していきます。しかしそれに呼応して、高齢者や主婦を中心に悪徳業者の被害が広がったため、当局も法整備に乗り出しました。そしてようやく、2005年7月に金融先物取引法が改正施行され、FXに法の網がかかることとなったのです。
規制法が整ったことで、それまで参入に慎重だった証券会社や信託分別保管を請け負う信託銀行なども参入するようになり、市場はさらに拡大傾向をたどります。またこの頃から、銀行、証券、保険などの壁を越えてさまざまな金融商品を包括的に扱う、いわゆる「投資サービス法」が検討されるようになりますが、これは2007年6月に金融商品取引法という名称で施行されます。これによって、FXも株や投信と同じ土俵で扱われることとなったわけです。
以後、同法や関連法令は少しずつ改正され、レバレッジ規制|自動ストップロス、信託保全、不招請勧誘といったしくみが整備されながら現在に至っています。
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