アービトラージ

   アービトラージ(Arbitrage)は金融商品の取引手法の一つで、裁定取引ともいいます。得られる利幅は限られますが、確実性の高い手法です。アービトラージでは価格が連動する二つの銘柄を同時に売買します。価格にひずみが生じたとき、割安な方を買って割高な方を売るのです。そしてひずみが解消されたときに反対の売買をして、取引を終了します。そのため、いずれはひずみが解消されるという点がポイントになります。

株価指数のアービトラージ

   例えば、株価指数とその先物取引の価格は連動していますが、まったく同じというわけではありません。株価の先高感が高くなると先物の人気が高まって、株価指数よりも割高になることがあります。また、逆のことも起こります。この割高・割安は株価指数から導かれる先物の理論価格を基準として判断します。

   理論価格は、株価指数に配当、金利、期間といった要素を加味して求められる将来の指数値です。配当利回りが高いと理論価格を押し下げる要因になります。現物株と違って先物では配当が得られないからです。一方、短期金利が高いと理論価格を押し上げます。現物株を買うのに必要な資金から取引証拠金に充当する資金を除いた残りで、金利収入が得られるからです。

   この理論価格と実際の先物価格が乖離したときがアービトラージのチャンスです。その後、価格のひずみが解消された時点で決済すれば、利益を確定することができます。もしひずみがなかなか解消されなかったり、逆に一層拡大したとしても大丈夫。先物価格と株価指数は、先物の最終清算日には必ず一致するように設計されているからです。これをSQ値(特別清算指数)と言います。

   確実に儲かるならば誰でもお金持ちになりそうですが、そうはいきません。日経平均とその先物でアービトラージを行う場合、指数を構成している225の銘柄を全て(それも計算式に合うように)買う資金が必要です。また、瞬時に買い揃えるだけの注文執行能力が求められます。とても個人では無理です。プロの投資家にしても、みんなが狙っているので大きなひずみはなかなか生じません。いわゆる「裁定が働く」と言われる現象です。

   ですから、最終清算日が到来する前に先物の建玉を期先限月に乗り換えて(ロールして)、チャンスを待つこともよく行われます。最終清算日まで建玉を持っていると自動的に決済が行われるので、その前に決済して、同時に期先に同じ建玉を作るのです。こうして、ひずみが解消されるだけでなく、さらに逆側へ拡大する機会を待つというわけです。

その他のアービトラージ

   以上は株価指数と株価指数先物によるアービトラージですが、他にも例はあります。例えば金(ゴールド)。金の円建て価格はドル建て価格に為替レートを掛けたものですが、東京工業品取引所の円建て金価格はそうした理論上の価格と必ずしも一致しません。こうしたケースもアービトラージのチャンスになります。ではFXでアービトラージは可能でしょうか。結論から言うと個人が行うのは難しいのですが、詳しくは以下のQ&Aを参照ください。

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