スワップアービトラージ

スワップアービトラージとは

   FXでは俗にスワップアービトラージと言われる取引手法があります。スワップはスワップポイントをさします(スワップ取引のことではありません)。簡単に言うと、スワップポイントを対象として二つの業者間でアービトラージ(裁定取引)を行う取引のことです。具体的な取引手順は以下の通りです。

  1. 各社が提示しているスワップポイントを比較します。スワップポイントは業者によって案外差があります。これは業者によってスワップポイントの位置づけや力を入れている通貨が異なるためです。
  2. そしてその差が大きい業者を二つ選びます。もちろん比較は同じ通貨ペアどうしで行います。どの通貨ペアが良いかは一概には言えませんが、ボラティリティが低い通貨ペアがベターです。
  3. 両方の業者で口座を開設したら、スワップポイントの受け取り額の方が支払う額より大きくなるように買いと売りのポジションを作ります。このとき、通貨ペアと数量は同じにします。
  4. ポジションができると、受け取りと支払いの差が毎日(土日も含めて)収益になります。いわゆる両建(りょうだて)の状態になっているので、為替相場の変動に対しては中立です。利益も損失も発生しない状態ですから、為替相場に一喜一憂する必要はありません。

スワップアービトラージの利点

   為替相場の変動リスクを回避しつつ、着実に収益をあげられる点がスワップアービトラージの利点ですが、みそはFXではレバレッジを効かすことができる点です。差し入れた取引証拠金に対し、最大で25倍の取引を行うことができます。業者ごとのスワップポイントの差自体は微々たるものですが、レバレッジを効かすことで悪くない収益を上げることができます。では具体例で考えてみましょう。

  1. 仮にドル円の取引において、A社のスワップポイントが1万ドル当り80円/84円だとします。左側は買いポジション、右側は売りポジションの場合です。別の言い方をすれば、左側は受け取れる額、右側は支払う額です。一方、B社では同じく58円/60円だとします。このケースでは、A社で買いB社で売りを行うと、80円と60円の差である20円が1日の収益となります。1年では20円×365日で7300円です。
  2. この取引に必要な証拠金は5万円としましょう(相場水準や各社の設定によって異なります)。すると、2社と取引するわけですから10万円が必要になります。この10万円を基準にして考えると、年率は7.3%ということになります。今の低金利からすると魅力的な水準です。

スワップアービトラージのリスク

   両建状態ですから、一見するとマーケットリスクがありません。それでいて7.3%という水準は魅力的に映ります。しかし、本当にそうなら世の中の投資家がこぞって参入しているはずです。ですがそうなっていないのは、スワップアービトラージには次のようなリスクがあるからです。

■建て玉時のリスク

   二つの業者を使って買いポジションと売りポジションを作りますが、その際に損失を出してしまっては元も子もありません。指値注文を使えば建値に差がつくことは防げますが、一方しか約定しないリスクがあります。やはり市場の動きを見ながら成行やストリーミングでポジションを作ることになります。その場合はできるだけ値動きが穏やかな時間帯を狙います。例えばドル円であれば、午前中は比較的値がよく動くので、日本時間の夕方が狙い目になります。

■自動ロスカットのリスク

   FXでは自動ロスカットが法的に義務付けられています。そのため、為替相場が大きく動くと、一方のポジションは損失が拡大して強制的に決済される危険があります。もちろんもう一方のポジションでは相殺可能な利益が出ています。もし自動ロスカットと同じタイミングで決済できればよいのですが、現実的には無理です。

   このため、自動ロスカットに会うと、一方のポジションが片建て状態になり、マーケットリスクにさらされます。これを避けるためには証拠金を多めに預託しておくことですが、そうすると収益率も下がってしまいます。このバランスが難しいところです。対策として利益の出ているポジションを一旦利食って即座に立て直すという方法もありますが、取引コストであるスプレッドと、短時間ではあるものの相場変動のリスクを負うことになります。

■金利変動のリスク

   スワップポイントは毎日変動します。政策金利が一定ならそう大きく変動することはありませんが、毎日のチェックは欠かせません。そうしないと、気づかないうちに受け取り超過だったスワップポイントが支払い超過になっている危険もあります。

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