FXを使った裁定取引(アービトラージ)は可能でしょうか?
裁定取引とは、本来は価格が同じであるべき二つの商品に値差が生じたとき、一方を買うと同時に一方を売り、同じ価格に戻ったときに取引を解消して鞘をかせぐ取引です。アービトラージともいいます。分かりやすい例をあげると、遠く離れた2ヶ所の取引所で同じ銘柄が取引されているとしたら、そうした機会が生じる可能性があります。ただ、それは通信手段などが発達していなかった時代の話し。現在行われているのは、デリバティブ取引とその原市場という組み合わせです。簡単にいうと、現物価格と先物価格の間の値差を利用するのです。実際、金利、株式、金(ゴールド)などでは盛んに裁定取引が行われています。
為替相場の場合は、フォワード取引と先物取引の間で裁定取引が可能です。例えば、ドル円のスポット取引が100円、3ケ月直先スプレッドが0.5円だとします。つまりフォワード市場では3ケ月先に手に入るドルが100.5円で買えるわけです。一方、IMMの先物市場では、3ケ月もの価格が101円だとすると、フォワードで買って先物で売っておけば、3カ月後には確実に利益となります。
しかしこうした取引は個人ではできません。CMEの先物は個人でも利用できますが、フォワード取引は不可能だからです。ではFXとIMMではどうでしょうか?組み合わせ自体は可能ですが、確実に利益を得られる保証がありません。裁定取引のミソは、儲けは大きくないもののほぼ確実に手にできるということです。現物の受け渡しを前提としないFXでは、鞘を利益にかえられる保障がないのです。
ただ、確実性というところに目をつむるのであれば、他にも組み合わせはあります。FXは相対取引なので、業者によって瞬間的には価格が異なっている可能性があります。特に流動性が低下している時間帯や何らかのサプライズでボラティリティーが上昇したときです。ただ、取引コスト(スプレッド)を考えると、実際に儲けを生むほどのチャンスはあまりなさなそうですが。また、価格変動の裁定取引ではありませんが、スワップポイントの業者間の差を狙うスワップアービトラージという手法があります。