リスクアペタイト

リスクアペタイトとは

   リスクアペタイト(Risk Appetite)は直訳すれば「リスクに対する食欲」、つまりリスクを選好する度合のことです。投資や資産運用の世界でよく使われる表現です。リスクアペタイトが旺盛なとき、市場参加者は積極的にリスクをとって利益を追求しようとします。これをリスクオンの状態と言います。逆にリスクアペタイトが減退しているときは安全志向が強まり、リスクオフの状態となります。

   どんな場合にリスクアペタイトが高くなるのでしょうか。それは金融市場に不透明な要素が少なく、安定しているときです。当局が金融を緩和していることも重要なポイントです。こういう局面では、ホットマネーはリスクを恐れず収益を狙いにいきます。株式や新興国への投資が盛んになるわけです。逆に不透明感が強まると、国債やキャッシュといった安全性が高く流動性もある資産へ避難します。

   リスクアペタイトを具体的な数値で表したものとしてリスク選好指数があります。クレディ・スイス銀行が作成・公表しており、世界中の市場関係者が参考にしています。

リスクアペタイトの循環

   リーマンショックのあと、世界の金融市場では信用収縮が起こり、リスクアペタイトが極端に低下しました。その結果、世界中の株式市場に売りが殺到し、債券市場では新興国などの低格付けの債券から高格付けの債券へのシフトが起こったのです。為替市場では、円やスイスフランなど相対的に安全と見られた通貨にお金が移動しました。それゆえFXでは、市場がリスクに対してどの程度積極的なのか、常に意識しておくことが重要です。

   リスクアペタイトが回復してくると、お金の流れは徐々に方向を転換します。ハイリスク・ハイリターンな資産へ向かい始めるわけです。やがてリスクアペタイトが行き過ぎるとバブルが発生し、市場はマネーゲームの様相を強めます。しかしバブルはファンダメンタルズの変化によって弾け、リスクアペタイトは再び適正な水準に向かって低下していくわけです。

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