FXで勝率は重要か

   FXにおいて勝率は重要でしょうか?。もちろん、低いよりは高いほうがいいに決まっているのですが、勝率が高いからといって儲かるとは限らないのが為替相場の世界です。勝率にはどの程度こだわるべきなのか?そこを考えてみたいと思います。

トレンドフォローの勝率

1.トレンドフォローの特徴

   巷の書店に行くと、FX関係の書籍が投資関係の棚の中で結構なスペースを占めていますね。入門書からノウハウ本まで様々ですが、「1勝9敗でも儲かる方法」みたいなタイトルを見かけたことがあります。トレンドフォローの売買手法を扱っていることは想像に難くありません。トレンドフォローはその名のとおり相場のトレンドを追いかけていく手法のこと。相場を相手にしている人なら誰でもやっていることで、特別な手法ということはないのですが、つきつめていくとそれなりのノウハウは存在します。

   トレンドフォローの真髄は、大きなトレンドが生じたときに最後まで乗りきることにあります。波乗りのように小さな波は無視して、たまにくるビッグウェーブに乗るのです。ただ、波乗りなら大きな波かどうかはあらかじめ分かりますが、相場では結果としてしか分かりません。そのため、トレンドフォロワー達はとりあえず乗ってみて、トレンドが伸びなければ降りるということを繰り返します。

   彼らは大相場になった時に一気に稼ぐので、勝率自体はよくありません。筆者はマネッジド・フューチャーズと呼ばれるファンド(世界的にかなり著名なもの)の組成・運用に末席でかかわったことがあります。そのファンドはトレンドフォロー式で、勝率は3割か4割程度でした。それでもおおむね年率十数パーセントの運用益を上げていたと記憶しています。ただし、運用成績は大きなトレンドが出るかどうかにかかっていて、それは年によっても違います。何か月もトレンドが出ないときがあって、その時は運用成績も低迷していました。サブプライム問題が表面化してからは、株、金利、為替、商品のどの市場でも大きなトレンドが発生したので、大きな利益を手にしましたが。

2.トレンドフォローで勝率はさほど意味がない

   一般的に、トレンドフォロワーにとって勝率はあまり意味を持ちません。大切なことはトレンドに乗れた時にいかに利益を伸ばすかです。最後まで波に乗り切ることです。なので、トレンドフォロー式の売買手法では、エグジットルールが重要になります。基本的には、あらかじめ許容可能なドローダウンの率を決めておいて、それに抵触しなければポジション(建玉)は保持するというやり方をします。例えば、買い持ちしている場合、直近の最高値から○%下げない限りは決済しないという方法です。これだと、多少の戻しがあっても相場が上昇基調を続けている限りはどんどん利益を伸ばしていくことができます。一方、トレンドが短期で終わってしまうと、取れた利益を削ってしまったり、へたをすると損切りになる可能性もあります。ですので、大きなトレンドが出るかどうかが生命線なのです。ボックス圏で推移するようなもちあい相場は最悪で、勝率が悪いのはもちろん、損益もマイナスになります。

   トレンドフォロー式の売買を実践するために便利なツールが「トレーリングストップ注文」です。これはまさにドロ−ダウン・ルールを実践するための注文方法で、常に相場をウォッチしていられない一般投資家にはお勧めです。採用している取引システムも増えてきました。ドローダウンの率や幅は自分で設定できますが、はじめからトレーリングストップを仕掛けると建玉してすぐに損切りということもあるので、ある程度トレンドに乗ってから注文するのも一つの方法です。

ターゲット固定式の勝率

1.ターゲット固定式とは

   トレンドフォロー式の売買手法では、勝率はあまり重要な要素ではありませんでした。しかし、中には勝率こそすべてという売買手法もあります。ここではそうした売買手法について取り上げます。

   相場をやっていれば、ロスカット(損切り)に踏み切れず損を広げてしまった経験は誰にもあると思います。一方、利食いが早すぎてもったいないことをしたという経験も多いはずです。「損切りは遅め、利食いは早め」という傾向は多かれ少なかれ誰にでも備わっているものですが、本能みたいなもので克服するのは非常にやっかいです(参考記事:FXの必勝法)。

   そこで有効な方法が、建玉した時点で利食いと損切りの注文を入れてしまうことです。ある意味、馬券を買うような感覚で、ポジションを持ったらあとは結果を待つのみというスタイル。原則として途中で指値を変えたりはしません。これがターゲット固定式の売買です。ポイントは利食いと損切りの幅をどう設定するか。トレンドフォロー的な要素を加味すれば、利食い幅のほうを大きくするという選択もありますが、同じ幅にすることを推奨します。勝率を追及するのがこの手法の真髄だと思うからです。どの程度の幅にするかというと、スプレッドというハンデがありますから、あまり小幅に設定することは避けなければなりません。

2.ターゲット固定式の例

   ドル/円を例にとって考えてみましょう。仮にスプレッドが1銭で、現在値が99.99−100.00とします。ここで買い建てた場合(建値=100.00)、利食いのターゲットを30銭にすると、100.30−100.31の時に利食えることになります。つまり、相場自体は31銭値上がりする必要があるわけです。一方、損切りも利食いと同様に30銭に設定すると、99.70−99.71で損切りとなるので、建値から29銭逆行した時点です。方や31銭、方や29銭ですから、これは結構なハンデです。ではターゲットを1円にするとどうでしょう。同様に、方や1円1銭、方や99銭の値動きでヒットするわけですが、この程度なら大きな差ではないと思います。ターゲット固定式では、基本的に1%以上の値動きに設定すべきでしょう。

   さて、このやりかたでは、1勝でも勝ち越せば利益が残ります。相場を全て当てることは不可能ですが、6:4で当てることができれば2勝勝ち越せます。7:3の確率なら4勝も勝ち越せます。相場で勝てない人の中には、そこそこ勝率は悪くないんだけれども、たまに大負けするのでトータルすると損をしているというパターンの人が結構います。「利食いは早め、損切りは遅め」という傾向から抜け出ることができない人たちです。このての人は、ターゲット固定式を試してみるとよいかもしれません。

仕掛けのタイミング

   最後に仕掛けのタイミングについてですが、いろいろな手法がある中で、「トレンドが変わったあと早い時点で現れた最初の戻り」が最も勝率が高いと言えます。トレンドの転換はチャートの分析手法などで判断します。しかし、トレンドが転換したと判断できる時点では、相場はすでに底や天井からけっこう離れています。なので、そこであわてて仕掛けないで、あくまで最初の押し目あや戻しを待つのです。これを徹底できれば、最低でも勝率が5割を下回ることはないでしょう。

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