ROC

ROCとは

   ROCは前ページで解説したモメンタムの改良版です。モメンタムでは、本日と〇日前の単純な値差をプロットしていきます。そのため、表示する期間や銘柄の違いで値動きの幅が異なれば、目盛りの間隔も異なってきます。また、月足で長期間の動向を見る場合、初めのほうと終わりのほうで相場の水準が大きく異なると、見た目で比較することができません

   そのため、絶対的な値差ではなく変化率をプロットすればよいという考え方が出てきます。これがROC(Rate of Change)です。計算式は次のようになります。

  • 本日のROC = (本日のレート ÷ 〇日前のレート) × 100

ROC

   何日前を基準とするかは、特にルールがあるわけではありません。一般的には移動平均でよく使われる10日や25日などが用いられます。もちろん、日足だけでなく週足(13週、26週など)や月足(12月、24月など)でも応用可能です。

   モメンタムではゼロラインをはさんで上がプラス圏、下がマイナス圏でしたが、ROCでは100%ラインをはさんで上が100%超、下が100%未満のエリアとなります。なお、ROCでもモメンタムと同じようにゼロラインをはさんだ目盛りがふられている場合があります。これは上記式で求めた値から100を引いて、プラス圏とマイナス圏に分かれるように工夫したものです。ROCの姿自体に変わりはありません。

ROCの見方−100%ライン

   ROCの見方はモメンタムと同じですので、以下同様の説明となります。指数が100%超エリアにある場合は相場が上昇トレンドにあり、100%未満のエリアなら下降トレンドにあります。ですから、まず次のように考えることができます。

  • 指数が100%ラインを上抜いたら、上昇トレンドに転換
  • 指数が100%ラインを下抜けたら、下降トレンドに転換

   ただし、一時的な押し目あや戻しの場面でも100%ラインをクロスすることはよくあります。ですから、この現象だけでトレンドの転換を判断することは正直危険と思います。

   100%ラインの有効な使い方は、相場自体のトレンドの方向とクロスの方向が一致しているときに出動することです。つまり、押し目買い(戻り売り)方針のときに、トレンドへの復帰をクロスで確認するわけです。押し目の底や戻りの天井を捉えることはできませんが、比較的安全な手法と言えます。

ROCの見方−ラインの勾配

   ROCにおいてより重要な点は、相場の勢いを視覚的に捉えられることです。ROCの描くラインが急勾配であればあるほど、相場に勢いがあるということです。ですから、100%ラインを上抜いてさらに急勾配で上昇していれば、もうしばらくトレンドか続くことが期待できます。また、100%未満のエリアであっても、急上昇している場合には底入れを暗示している可能性があります。

ROCの見方−ダイバージェンス

   相場が値上がりを続けている一方で、ROCのラインが下降に転じることがあります。逆に、相場が値下がりしている状況下で、ROCが上昇することもあります。このように、相場とROCが逆の動きを示すことをダイバージェンスといい、トレンドの反転を暗示している可能性があります。

   これはオシレーター系テクニカル分析に広く見られる現象でROCでも注目に値します。ダイバージェンスが起こっている状況では、「吹き値売り・突っ込み買い」と言われる逆張り戦法も選択肢の一つになります。これは、まさに大底で買い天井で売ることを狙うものです。当サイトでは原則としてあまりお勧めはしませんが、トレンドの背景にあるファンダメンタルズにも変化の兆しが見られるようなら、検討の価値はあります

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