モメンタム
モメンタムとは
モメンタム(Momentum)は代表的なオシレータ一系のテクニカル分析の一つです。モメンタムという単語自体の意味は「動作や運動の勢いとか大きさ」なので、為替相場の勢いを示す指数と捉えればよいでしょう。
モメンタムは本日と○日前のレートを比較しただけのシンプルなものです。下図が実例です。上段が為替相場、下段の赤い線がモメンタムで、中間の横線がゼロラインです。指数がここにあれば、本日と〇日前のレートが同じであるということ。値上がりしていれば上のプラス圏に、値下がりしていれば下のマイナス圏にその差をプロットします。
- 本日のモメンタム = 本日のレート − 〇日前のレート
何日前を基準とするかは、特にルールがあるわけではありません。一般的には移動平均でよく使われる10日や25日などが用いられます。もちろん、日足だけでなく週足(13週、26週など)や月足(12月、24月など)でも応用可能です。
ただ、レートの差をプロットするだけなので、RSIのようにあらかじめ定まった上限・下限がありません。このため、オシレータ一系テクニカル分析の特徴である「買われすぎ・売られすぎ」の目処もありません。これを補完するために、モメンタムにはさまざまな改良版が存在しています。それらについては改めて説明するとして、ここではベーシックなモメンタムを前提として話しを続けます。
モメンタムの見方−ゼロライン
指数がプラス圏にある場合は相場が上昇トレンドにあり、マイナス圏なら下降トレンドにあります。ですから、まず次のように考えることができます。
- 指数がゼロラインを上抜いてマイナス圏からプラス圏に浮上したら、上昇トレンドに転換
- 指数がゼロラインを下抜けてプラス圏からマイナス圏に沈んだら、下降トレンドに転換
ただし、一時的な押し目やあや戻しの場面でもゼロラインをクロスすることはよくあります。ですから、この現象だけでトレンドの転換を判断することは正直危険と思います。
ゼロラインの有効な使い方は、相場自体のトレンドの方向とクロスの方向が一致しているときに出動することです。つまり、押し目買い(戻り売り)方針のときに、トレンドへの復帰をクロスで確認するわけです。押し目の底や戻りの天井を捉えることはできませんが、比較的安全な手法と言えます。
モメンタムの見方−ラインの勾配
モメンタムにおいてより重要な点は、相場の勢いを視覚的に捉えられることです。モメンタムの描くラインが急勾配であればあるほど、相場に勢いがあるということです。ですから、ゼロラインを上抜いてさらに急勾配で上昇していれば、もうしばらくトレンドか続くことが期待できます。また、マイナス圏であっても、急上昇している場合には底入れを暗示している可能性があります。
モメンタムの見方−ダイバージェンス
相場が値上がりを続けている一方で、モメンタムのラインが下降に転じることがあります。逆に、相場が値下がりしている状況下で、モメンタムが上昇することもあります。このように、相場とモメンタムが逆の動きを示すことをダイバージェンスといい、トレンドの反転を暗示している可能性があります。
これはオシレーター系テクニカル分析に広く見られる現象でモメンタムでも注目に値します。ダイバージェンスが起こっている状況では、「吹き値売り・突っ込み買い」と言われる逆張り戦法も選択肢の一つになります。これは、まさに大底で買い天井で売ることを狙うものです。当サイトでは原則としてあまりお勧めはしませんが、トレンドの背景にあるファンダメンタルズにも変化の兆しが見られるようなら、検討の価値はあります
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