ADX

   ADXはトレンド(方向性)の強さを計るための分析手法です。フルネームはAverage Directional Movement Indexで、直訳すれば「方向性のある動きの指標」という感じでしょうか。RSIと同じW.ワイルダーというテクニカル分析の大御所が開発したものです。ADXはDMI(Directional Movement Index)と組み合わせて使用されることが多いのですが、ここではADXにしぼって解説します。

   下図の下段のグラフがADXです。数値(%)が高いときはトレンドが強く出ている局面を、数値が低いときはトレンドを失っている局面を示します。相場は常にトレンドのある局面とトレンドのない局面を交互に繰り返していますが、これをシンプルなグラフで視覚的に捉えることができるわけです。注意していただきたいのは、ADXはトレンドの強さだけを示すもので、アップトレンドなのかダウントレンドなのかは分からないということです。では次に使い方をご説明します。

ADX

ADXの使い方

   次の二つが代表的なADXの使い方です。

  • ADXが低水準になった場合…そろそろトレンドが生じる可能性が高いと判断されます。上下どちらにトレンドが生まれるかはADXだけでは判断できませんから、DMIやフォーメーション分析 などその他のテクニカル分析を併用します。ADXが上昇を開始したら方向を見極めて建玉します。
  • ADXが高水準になった場合…そろそろそのトレンドが終息する可能性が高いと判断されます。利の乗っているポジションを持っているときは手仕舞いを考えます。

   低水準とか高水準とはどの程度をさすのかが問題ですが、これはADXを計る期間によって多少変わってきます。つまりADXでも他のテクニカル分析同様に測定期間がパラメータとなっているわけです。当社では通常10日を使用していますが、一般的には14日が標準かと思います。パラメータが10日とか14日くらいだと、20%以下で低水準、60%以上で高水準が一応の目安になります。

   パラメータを短くすると、ADXの振幅が大きくなりますから、水準(特に高水準)の目安も変わってきます。また、中長期のトレンドを見る場合は、25日や50日で見てみるのも参考になります。いずれにしても、トレンドが強い場面はそんなに多く発生しないので、低水準にある状態のほうが多くなります。RSIのように50%が中立というわけではありません。

   上記の二つがADXを単体で使用する場合の代表例ですが、ADXが高水準になったときのもう一つの使い方として、トレンドに向かうという手もあります。要は逆張りですね。ADXが高水準になると、次に予想される動きは、揉みあいかトレンドの反転です。もしそうなら、逆張りすれば少なくとも損はしないことになります。確かにそういう一面はありますが、揉みあいが短期間で終わって再びもとのトレンドが続くこともままありますから、タイミングが悪いと損をします。他の分析と組み合わせて判断することが必要です。

使用例

ADX

   次に上の図を使ってADXの使用例をご説明します。左から順に見ていきましょう。まず、B1でかなり低い水準まで下がってきましたので、そろそろトレンドの出現が予想されます。ここでは、上値抵抗線となっているL2を上抜くか、下値支持線となっている移動平均を下抜くかした時に建玉するという戦術が候補になります。

   実際はなかなかトレンドが出ず、B1'でダブルボトムを形成しますが、アのところで大きな陰線(参考:ローソク足の見方)が出現し、移動平均を勢いよく下抜けました。ここが建玉のポイントです。その後、下降トレンドになりますが、値幅的には大したトレンドにはなりませんでした。後講釈をすれば、このダウントレンドはウからスタートしていますので、日柄を考慮のうえ下値抵抗が出てきた時点で利食えていれば正解だったということになります。

   次にADXで注目すべきポイントはT1です。高い水準まで上昇しましたので、ひとまずトレンドのない状態へ移行することが予想されます。結果としては、しばらく高値もちあいが続いたあと小反落となり、ボックス相場へ移行します。この間、ADXはB2まで下がりましたので、この時点でそろそろトレンドの発生が予想される状態となります。上値抵抗線となっているL1を上抜くか、下値支持線となっているL2や移動平均を下抜くかした時に建玉するという戦術が考えられます。結果的にはイで長大陽線が出現し、L1を勢いよく上抜いているので、ここで買い建てます。そして、T2でADXが高水準となったところで利食えれば、大きな利益を手にすることができたことになります。

ADXの計算式

   参考までにADXの計算式を記載しておきます。かなり面倒ですが。

1.まずPDM、MDMを求めます

  • PDM = 当日の高値 − 前日の高値
  • MDM = 前日の安値 − 当日の安値

   ただし、

  • PDM > MDMの時…PDM = PDM、MDM = 0
  • PDM < MDMの時…PDM = 0、MDM = MDM
  • PDM = MDMの時…PDM = 0、MDM = 0
  • PDM、MDM共に0以下の時…PDM = 0、MDM = 0

2.次にTRを求めます

   TRは以下の3つの中で最大値となる数値です。

  • 当日の高値 − 当日の安値
  • 当日の高値 − 前日の終値
  • 前日の終値 − 当日の安値

3.PDI、MDIを求めます

   PDIは相場の上昇の勢いを示す指標、MDIは下落の勢いを示す指標です。

  • PDI = ○日間のPDMの合計 ÷ ○日間のTRの合計 × 100
  • MDI = ○日間のMDMの合計 ÷ ○日間のTRの合計 × 100

4.そしてようやくADXです

  • ADX = {(PDI − MDI)の絶対値 ÷(PDI + MDI)}の○日平均

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