フィルター
フィルター(Filter)は液体や気体を濾化する装置のことですが、テクニカル分析ではノイズを除去するためのルールをさします。ノイズとはテクニカル分析をかく乱するような値動きのことで、だましの原因となることがあります。フィルターはノイズを除いて値動きの本流を捉えようとするものです。ただ、為替相場はランダムな動きをするものなので、ノイズを完全に除去することはできません。また、結果的にノイズではなかった場合に行動を遅らせてしまいます。だましに会う危険性を減らすことができる一方で、チャンスを逃す可能性もあるわけです。
フィルターにはそうした難点もありますし、ノイズもれっきとした値動きである以上、無視はできないという考え方もあります。そうしたことを念頭に置いたうえで、以下にあげるフィルターの手法をお読みください。取引手法のポケットを増やし、相場スキル向上の一助となってくれるでしょう。
目足の替わりに移動平均を利用する
日足の替わりにごく短期(2日とか3日)の移動平均を使用して、目足は見ないようにします。例えば、新値の更新を移動平均で判断するようにするのも一つの方法です。移動平均自身も代表的なテクニカル分析なのですが、それとは別に日足の代替として利用するということです。もちろん時間足や週足でも同様です。
終値以外を採用する
移動平均の使い方として、「押し目を形成していた相場が上昇中の移動平均を再び上回ったら買い」というのがあります。通常は終値で判断しますが、安値も上回ることを条件とすれば、信頼性は高まります。
移動平均のバンド化
移動平均を一本の線ではなく、一定の幅を持ったバンド状にすることでだましを防ぐ方法です。これには二つの方法があり、一つは高値と安値でそれぞれ移動平均を作る方法。もう一つは、終値ベースの移動平均の上下に乗離線をつける方法。後者の場合、手法としてはエンベロープと同じですが、乗離率をごく小さく設定してフィルターとして使用するわけです。いずれの場合でも、バンドの中はニュートラルなエリアとして建玉や決済などのアクションをとりません。
オシレ一夕ーのパラメータを大きくする
時間を利用する
テクニカル分析で売買シグナルが出た場合に、2〜3日は様子を見るというルールもフィルターです。また、相場のトレンドが変わったら最低○週間はトレンドに逆らった建玉を持たない、という決め方をすることもできます。
移動平均の先行
チャートソフトの中には、移動平均を実際の値動きよりも先行(オフセット)させて表示する機能を持っているものがあります。下図のような具合です。これにはどのようなメリットがあるのでしょうか。例えば日足で5日間先行させる場合、本日の位置にプロットされるのは、実際には5目前の姿です。したがって、移動平均の傾斜の反転やクロスといった現象も、5日前のもので判断することになります。
これは、わざわざ判断のタイミングを遅らせることで、だましを回避することを目的としています。もちろん、他のフィルターと同じように、出動が遅れてしまう可能性も含んでいます。そのため、通常の移動平均をベースとして、判断に迷う場合に参照してみるのも一つの利用方法です。なお、移動平均を先行させて描くという手法は、一目均衡表の「雲」にも類似の発想が見られます。
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