一目均衡表

   一目均衡表(いちもくきんこうひょう)はローソク足と並んで世界的に普及している純国産のテクニカル分析です。値動きと時間を総合的に表現し、相場の均衡点をひとめで把握しようというのが狙いであり、大きな特徴です。見た目が複雑で、ちょっとした解説書なんかを見ても時間論やら波動論やら何か奥が深そう。それも一目均衡表を本当に理解するためには必要かもしれないけど、目的はあくまでFXで儲けるためのポケットを増やすことです。ここでは基本的な使い方と簡単な実践例をご紹介します。

一目均衡表の基本的性格

   テクニカル分析は大きく分けると順張りにむいたものと、逆張りにむいたものに分類できます。前者はトレンドフォローで本領を発揮する分析手法。移動平均のテクニカル分析が代表的です。後者は、トレンドが短い場合やボックス相場(往来相場)で勝率が高くなる分析手法。オシレーター系のテクニカル分析が代表例です。一目均衡表はトレンドの発生をとらえる点に主眼が置かれていますので、順張り系と言ってよいでしょう。上昇圧力と下降圧力の均衡を視覚的に捕らえ、均衡が崩れた時がトレンドの基点になるという考え方一目均衡表のポイントです。

一目均衡表の構成要素

一目均衡表

   前講釈はこれくらいにして本題に入りましょう。一目均衡表はローソク足と次の五つの補助線から構成されています。基本的には日足が中心となりますが、週足や月足でもいけます。また、好みでローソク足の代わりにバーチャートなどを用いるのもありかと思います。

  • 基準線…図の青い線。(過去26日間の最高値+最安値)÷2
  • 転換線…図の赤い線。(過去9日間の最高値+最安値)÷2
  • 先行スパン1…図の水色の線。{(転換値+基準値)÷2}を26日先へずらしたもの
  • 先行スパン2…図の桃色の線。{(過去52日間の最高値+最安値)÷2}を26日先へずらしたもの
  • 遅行スパン…図の緑の線。本日の終値を26日後方へずらしたもの
  • 雲…先行スパン1と先行スパン2に囲まれたエリア

   一目均衡表は、ローソク足およびこれら補助線の相互関係で売買のタイミングを判断していきます。パラメータとなっている数字(9日、26日、52日など)は一目均衡表を考案した一目山人が変化日として重視した数字ですので、基本的にはこの数字が使用されます。ただ、他のテクニカル分析にも共通することですが、こうしたパラメータは絶対的なものではないので、独自にアレンジして応用してみるのも面白いんじゃないでしょうか。

一目均衡表の売買シグナル

一目均衡表

   それでは、一目均衡表でどのように売買タイミングを判断するのか見ていきましょう(ここをクリックすると上の画像が別ウィンドウで開きます)。

1.基準線と転換線

   基準線は本日を含む過去26日間でつけた最高値と最安値の中間値です。五つの補助線の中では、相場の方向性を示す最も基本的な線です。転換線の計算も同じ考え方ですが、日柄が9日と短くなっています。これらは計算期間における取引価格帯を表しています。基準線と転換線では次のような事象が起こったときに売買シグナルとみなします。

  • A.基準線や転換線が上向けば買い、下向けば売り。もちろん、転換線のほうがより短期の方向性を示します。
  • B.転換線が基準線を上抜ければ買い、下抜ければ売り。

   AもBも、転換線を短期線、基準線を長期線とみなせば、移動平均の売買シグナルがそのまま当てはまります。Bは移動平均で言うところのゴールデンクロスデッドクロスですから。従って、クロスのパターンには強弱があり、ゴールデンクロス(デッドクロス)では基準線が下降中(上昇中)に起こる場合よりも上昇中(下降中)におこる場合のほうが信頼性は高くなります。また、ローソク足が転換線の上(下)にあればさらに信頼性は高くなります。図ではア、イ、ウの3箇所でクロスが見られますが、イが最も信頼性の高いパターンです。アとウのゴールデンクロスは基準線が下降中に起こっていますし、特にアはローソク足が基準線を下抜けており、最も信頼性の低いパターンと言えます。

   また、基準線と転換線を押し目の支持線やあや戻しの抵抗線と見ることもでき、これも移動平均の考え方に似ていますね。相場が上昇(下降)に転じたばかりで勢いがあるときは、なかなか基準線まで下げて(戻して)きません。勢いがあると判断したら、まず打診的に転換線で押し目を買う(戻りを売る)のも一つの方法です。

2.雲

一目均衡表

   雲は基準線や転換線よりもさらに重要な抵抗帯または支持帯とみなされますので、以下の事象が売買サインとなります。なお、雲の厚みが抵抗の強さを表します。

  • A.雲を下から上に突き抜けると買い、上から下に突き抜けると売り。
  • B.雲を下抜けずに反発した場合は買い、上抜けずに反落した場合は売り。

   また、雲は2本の先行スパンの位置関係にも注意が必要です。先行スパン1のほうが2よりも上の場合は上昇圧力があり、2のほうが上の場合は下降圧力が強いと見ます。このため、先行スパンの位置関係が変わる日(図のカ、キ)は変化日と考えられます。雲は現在から26日先までチャート上にプロットされますので、変化日を予想することができます。

3.遅行スパン

   遅行スパンはローソク足と比べます。ただし、最新のローソク足ではなく、遅行スパンのある日のローソク足で比べます。それで、遅行線がローソク線を上回っていれば現時点で買い、下回っていれば現時点で売りと考えます。

4.三役好転/三役逆転

   転換線と基準線の関係、ローソク足と雲の関係、遅行線とローソク足の関係を三役と言います。

  • 転換線>基準線、ローソク足>雲、遅行線>ローソク足の3条件が全て揃う場合…三役好転といい、強い買いシグナルとされます。
  • 転換線<基準線、ローソク足<雲、遅行線<ローソク足の3条件が全て揃う場合…三役逆転といい、強い売りシグナルとされます。

   図ではサのところで三役好転が起こっています。この時点で基準線も上向きに転じており、底入れから上昇に転じたことが示唆されています。後はどこでエントリーするかですが、次のような候補があげられます。この中からいくつかピックアップし、資金を分散させて買っていくのも有効な方法になります。

  • 転換線で買い
  • 基準線で買い
  • 雲の上限で買い
  • 雲の中間で買い
  • 雲の下限で買い

   以上が一目均衡表の概要です。ただ、どんなテクニカル分析にも共通することですが、一目均衡表も万能ではありません。ファンダメンタルズや他のテクニカル分析も検討して総合的に判断することが必要です。

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