RCI
RCI(Rank Correlation Index)は順位相関指数とも呼ばれます。為替相場の変動と日柄に順位をつけて、その相関係数をプロットしたものです。といってもピンときませんよね。まずは一見にしかずということで、実例を見てみましょう。下図はUSD/JPYの日足です。
見てのとおり、RCIは−100から+100の間を往来するオシレーター系テクニカル分析です。相場が上昇基調を強めている場面ではRCIも上昇し、+100に近付いていきます。下降基調になれば−100%に向かって下げていきます。
RCIの見方
RCIの計算方法については最後に簡単に触れます。まずは肝心な使い方について見ていきましょう。
1.RCIの見方−ラインの勾配
RCIのラインは相場の方向性と勢いを表します。ラインが上向いていれば相場も上昇基調にあり、さらに急勾配であれば相場に勢いがあるということです。また、下降していたRCIが反転して上昇に転じれば、相場が底入れした可能性を示唆しています。逆に、上昇していたRCIが下降に転じれば、相場が天井打ちした可能性が考えられます。
2.RCIの見方−水準
RCIではRSIやストキャスティックのように、売られ過ぎや買われ過ぎを見ることもできます。概ね+80以上で買われ過ぎ、−80以下で売られ過ぎと捉えることができます。ただし、相場のスケールが大きいとダマシになることも少なくありません。オシレーター系全般に言えることですが、その水準だけで逆張りを行うにはリスクが高いと言えます。
3.RCIの見方−ダイバージェンス
相場が値上がりを続けている一方で、RCIが下降に転じることがあります。逆に、相場が値下がりしている状況下で、RCIが上昇することもあります。このように、相場とRCIが逆の動きを示すことをダイバージェンスといい、トレンドの反転を暗示している可能性があります。
ダイバージェンスはオシレーター系で特徴的な現象ですが、RCIでも重要なサインです。ダイバージェンスが起こっている状況では、「吹き値売り・突っ込み買い」と言われる逆張り戦法も選択肢の一つになります。これは、まさに大底で買い天井で売ることを狙うものです。あまりお勧めはしませんが、トレンドの背景にあるファンダメンタルズにも変化の兆しが見られるようなら、検討の価値はあります。
4.RCIの見方−2本のラインのクロス
RCIでは2本のラインを用いることもあります。その方法は以下の二つです。
- 設定を変えた2本を用いる(下のチャートでは15日と20日を使用しています)
- 1本目の移動平均を用いる
RCIでは2本の線のクロスも重要なサインとなります。基本的に移動平均のクロスと見方は同じですが、ポイントは以下のとおりです(詳しくは「移動平均のクロス」をご参照ください)。
RCIの計算方法
RCIは統計学の手法を応用したものです。一般的に二つの事象の相関関係を調べるのには、スピアマンの順位相関係数とケンドールの順位相関係数が知られています。RCIはスピアマンの順位相関係数を応用しています。具体的な計算式は数学の知識が必要なので割愛しますが、考え方は以下のとおりです。
- まず計算期間のなかで、新しい日付ほど高い順位を割り振ります。つまり、最新の日付の順位は1、2番目に新しい日付の順位は2となります。
- 次に、計算期間のなかで、高いレートほどを高い順位を割り振ります。つまり、最高値の順位は1、2番目の高値の順位は2となります。
- そして、日付の順位と高値の順位の相関性を計算して総関係数をもとめ、それに100をかけます。
RCIの問題点
RCIはあらかじめ分析の対象とする期間を設定します。もしRCIが+100なら、その期間における相場と日柄の関係は完全な正の相関関係(順相関)にあり、−100なら完全な負の相関関係(逆相関)にあることになります。しかし、その設定が足元の相場にフィットしているかどうかは分かりません。設定期間よりももっとスケールの大きな相場であれば、誤ったサインを発してしまいます。この問題は、ほとんどのテクニカル分析に当てはまる問題です。RCIでも、相場が一定の日柄で循環しているような場合はサインの有効性は高まりますが、逆のことも起こります。RCIを参考にするときは、その点に十分な注意が必要です。
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