実勢相場

実勢相場とは

   為替相場について実勢相場という表現が使われることがあります。この言葉には、文脈によって二つの意味があります。一つは、実際に市場で取引されている相場(Market Rate)という意味で使われるケース。当局が定める公定相場などがある一方で、銀行間市場では異なる相場で取引が行われているような場合に、お互いを区分するために使用されます。

   もう一つは、「本来あるべき相場」という意味で使われるケース。フェアバリュー(Fair Value)と同義です。人気の過熱などで相場が行き過ぎた状態にあるとき、それは「実勢相場から離れた一時的な相場」という捉え方をしているわけです。

実勢相場と人気

   ここで取り上げたいのは、後者の意味で使用される実勢相場です。為替相場が形成される要因としては、土台に需給関係などのファンダメンタルズがあります。しかし、それ以外に「人気」という厄介な要因もあります。行き過ぎた楽観や悲観は相場には常につきものであり、移ろいやすいものです。また、人気はヘッジファンドなどの投機筋によって意図的に煽られることがままあります。煽られて乗せられるのは大衆であり、FXの世界ではとりわけミセス・ワタナべがターゲットになります。

   この人気という捉えどころのない要因は、はたしてどの程度、為替相場に影響を及ぼしているのでしょうか。もちろん、定量的に把握することは困難なのですが、日経新聞電子版(2013/4/12)に次のような興味深い記事が掲載されていましたので、ご紹介しておきます。ある市場関係者の研究によると、ヘッジファンドは実勢相場から5〜10円程度離れたときに利食いに動くのだそうです。乗離率にすると6%〜12%程度でしょうか。もちろん厳密な数字ではありませんし、ヘッジファンドの動向が常に相場を左右するわけではありません。ただこのような見解は希少性があるので、参考までにご紹介した次第です。

実勢相場の目途

実勢相場

   では、実勢相場をどう判断するべきか、という点について考えてみましょう。長期的には購買力平価(上図)で導かれた水準が参考になります。しかし、購買力平価は土台の土台という感じなので、日々変動する為替相場を相手とする場合にはあまり有効とは言えません。そこで別の候補を考えてみます。

  • 長期の移動平均(例えば200日や52週など)がある水準を実勢相場と捉え、相場がそこから大きく帝離している場合は人気によるものだと考える。
  • コミットメンツ・オブ・トレーダーズにおいて、大口投機筋のネッティングポジションがゼロとなるような水準を実勢相場と捉え、ネッティングポジションが大きく偏っている場合は人気によるものだと考える。

   これらは一応の目安にはなるかと思います。ただ注意していただきたいのは、「実勢相場から大きく乗離したときは逆張りのチャンスだ」と言っているわけではないということです。FXでは大勢に逆らうことは危険であり、基本方針は順張り(トレンドフォロー)とすべきです。そのなかで、実勢相場からの乗離を利食いのめどとする方法もあるということです。

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