11)FXのメリット・デメリット
FXは資金を積極的に運用する目的で利用しますが(一部ではヘッジなどでも利用されています)、同じような金融商品の中からFXを選ぶ理由は何でしょうか。このページでは主に株式と比較しながらFXのメリットとデメリットを整理していきます。
レバレッジ
為替相場の値動きは個別株に比べて穏やかですが、FXではレバレッジを効かすことができます。例えば、1%の値動きでも10倍のレバレッジを効かすと、10%の値動きに相当します。FXの大きなメリットの一つはこれを自由にコントロールできるということです。もし、個別株程度の値動きがよいなら、数倍のレバレッジにとどめ、さらなる値動きを求めるなら10倍、20倍のレバレッジを効かすことも可能なのです(個人の場合は法令で最大25%に制限されています)。
このように、限られた資金の中でリスク・リターンの関係を自分の意思でコントロールできる点は、FXのメリットです。ただし、大胆になってレバレッジを効かし過ぎると思わぬ大損を被ってしまう可能性もあります。そういう危険性をはらんでいる点はデメリットであり、十分に留意する必要があります。では同じようにレバレッジを効かすことができる株価指数先物取引はどうでしょうか。これについては詳しい比較をしていますので下記をご参照ください。
- 詳しい解説:FXと日経225先物取引の比較
取引時間と取引コスト
FXのもう一つのメリットは、取引時間の制限を受けないということです。基本的に土日を除く24時間取引が可能です。勤務先から帰宅した後の夜間や、出勤前の早朝でも取引を行うことができます。また、日本が祝日でも欧米がそうでなければやはり取引を行うことができます。この点は、株式取引と大きく異なる点でしょう。
また、取引コストについてですが、これは業者によっても異なりますので一概には言えません。ただ、FXの取引コスト(主にスプレッドです)はメジャー通貨を中心に非常に安価と言ってよいでしょう。
自動ロスカット
キャピタルゲインを狙う場合は、常に損失と背中合わせです。損失を招く要因には知識や経験の不足ということもありますが、実は心理的な要因も非常に大きいのです。具体的には、損切りに対する心理的抵抗感です。この点、FXでは自動ロスカットを採用することが法令で義務付けられています。株式取引には先物も含めてこうした仕組みがありません。自分の意思でしっかり損切りができる人ならよいのですが、ベテランでも魔が差すということは起こります。この自動ロスカットもFXのメリットと言えるでしょう。
- 関連記事:FXと行動経済学
信託保全
積極的な資産運用にはどうしてもリスクが伴いますが、リスクはそれだけに留めたいところ。つまり、取引している業者が破綻するリスクは避けたいものです。ただ、この点は金融商品取引法などで安全策が講じられていますので、FXでも株式取引でも大きな差はありません。証券会社の場合は投資者保護基金という制度がありますし、FXの場合は、顧客資産は信託保全することが法令で定められています。細かい話をすると100%安全というわけではないのですが、実質的には業者の破綻については心配しなくても大丈夫と言ってよいでしょう。
その他の金融商品等との比較
CFDはどうでしょうか。実はFXはCFDの一種といってもよいのです。CFDとはそもそも差金決済取引のことで、その対象が為替であるものがFXなのです。ですので、CFDという場合、投資対象は主に個別株式(海外銘柄のほか国内銘柄もあります)になりますが、株価指数、債券、商品先物など多岐にわたります。ですので、海外で話題になっている株へ投資することも可能です。基本的な仕組みはFXと同じですから、まずFXである程度経験を積んでから、CFDを検討してみるとよいでしょう。
- 詳しい解説:CFD入門
最後に商品先物取引ですが、取り扱い銘柄は貴金属や原油などのエネルギー、農産物といったものになります。基本的には海外市場の相場と為替相場によって価格が決まります。取引時間にも制限があり、情報も限られていますので、特別な理由でもなければ、資産運用の対象には考えにくいと言えます。
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