為替相場の内部要因
内部要因というのは、ファンダメンタルズとは異なり、市場自身が内部に抱えている要因を意味します。具体的には建玉の取組み状況や市場参加者の個別の事情などです。
例えば、弱材料が重なり、下降基調を続けてきた相場が、さしたる材料もないのに急激に反発することがあります。もちろん、安値拾いの新規買いもあるでしょうが、動きが急なときは、売り方(うりかた)の買い戻しが主因となっていることが多いのです。特に、資金量が多く、ある程度中長期の取引を行うヘッジファンドが反対売買に動くと、変動幅が大きくなります。もちろん、そうした行動の背景にはファンダメンタルズがあることも想定されますが、「なぜこのタイミングで?」ということも少なくありません。
あるいは、オプション取引にからんで、特定の価格で売り方と買い方の攻防が起こることがあります。こうした例も内部要因の一つです(参考記事:FXとオプションバリア)。
内部要因のポイント
また、相場の変動率(ボラティリティー)が高くなると、ファンドなどは建玉を縮小する動きが出てきます。VaR(バリューアットリスク)と呼ばれるリスク管理手法において、リスクの計測値が高まるからです。すると彼らは、相場の見通しとは関係なく、機械的に現金比率を高めるため、ポジションの決済に動きます。
このような動向は、ニュースや経済指標などの外部要因に基づくものではなく、市場参加者の個別の事情に基づく行動なので、内部要因というわけです。ただ、為替市場は相対取引であるため、市場参加者の動向がつかみにくく、内部要因が市況解説で取り上げられることはあまりありません。FXで入手可能な情報としてもコミットメンツ・オブ・トレーダーズくらいしかありませんが、説明が困難な相場の動きには、内部要因が絡んでいる場合が多々あることを知っておくとよいでしょう。
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