証拠金取引の隆盛

   近年、日本でも証拠金取引が盛んになってきました。ふた昔ほど前なら、小額の資金でも参加できる証拠金取引といえば、商品先物取引しかありませんでした。ただ、普通の投資家が気軽に手を出せるようなものではなかったのは確かです。「赤いダイヤ」と呼ばれた小豆に代表されるように、一般の人には馴染みの薄い商品相場が対象でしたから。また、インターネットの影も形もない時代では、営業マンからの情報やアドバイスに頼らざるを得ず、その点でも素人には難しかったのです。

証拠金取引の普及

   その後、日経平均先物が個人投資家に開放されたのですが、当初は証拠金も高く、口座開設の審査も厳しいものでした。やはり、FX(為替証拠金取引)と日経225mini(株価指数先物取引)の登場が、証拠金取引の垣根をぐっと低くしたと言えます。インタ−ネットの普及が一役買っているのも間違いありません。最近では、CFDと呼ばれる店頭証拠金取引も日本に上陸してきました。実は、FXはCFDの仲間なんですね。どちらも、取引所の場外で相対方式により証拠金取引を行う商品です。

   もともと証拠金取引は、相場の下落をヘッジするために生まれたもので、ブラックマンデーでその有用性が注目されました。その後、ヘッジファンドの拡大とともに利用が広がり、規制緩和の流れの中で、個人投資家にも普及してきたわけです。

証拠金取引は使い方次第

   証拠金取引については、まだ「危険なもの」「普通の人が手をだしてはいけないもの」というイメージが残っています。リスクがあるのは事実で、知識も経験もない人が安易に手をだすべきものではありません。しかし(ちょっと大げさな話しになりますが)、少子高齢化、人口減少、国際競争力の低下という厳しい現実の中、日本は貯めに貯めた金融資産をいかに活用するかが課題とされています。それは、個人レベルでも同じです。もう一生懸命働けば給料が上がる時代ではありません。自分の生活は自分で守らなくてはなりません。証拠金取引は危険もありますが、よく勉強し、あるいは信頼できるアドバイザーを持ち、レバレッジを程よく押さえて取引を行えば、有効な運用手段になります。要は使い方次第なのです。

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